tachiiri1227IMGL2430_TP_V

3人でさっきの廃寺って結構広い敷地なんだなーなどと話していると、ある事に気がついた。 
寺の庭を回った時に一切見かけなかったはずだが、庭の端の方に直径数mくらい、大きな黒い穴のようなものが見える。 
「あんなものあったっけ?」と話していると、寺の庭に何か小さな動物が出て来ていた、そしてその動物が庭の中を走り出した瞬間、その穴のようなものが「動いて」まるで動物が穴の中に消えてしまったように見えた… 


わけが解らない現象を目の当たりにした俺たちは「…今あの穴動いたよな?なんだあれ…」と唖然としていると、更にとんでもない事が起きた。 
その物体が突然宙に浮くと、かなり高い距離まで上りそのまま移動し始めた。 
その時になって、俺たちはあれが穴などでは無く、真っ黒で平面のなんだか良く解らない物体である事に気がついた。 

その平面状の物体は結構な高さを浮いて、俺たちが来た道の上を山頂へと向かって進みだした。 
その時、恐らく移動する物体にびっくりしたのだろう、木の間から大きめの鳥が飛び出し、宙を浮く平面状の物体とぶつかった。 
が、鳥はそのまま落ちる事も物体を通り抜ける事も無く消えてしまった…何がなんだか解らないが、とにかくあれは何かヤバそうなものだ、そしてそのヤバそうなものは明らかに俺たちの方へと向かってやってきている、その事だけは理解できた。 

とりあえずここからすぐに退散した方が良さそうだ。 
3人でそう話して気がついた、あの物体は俺たちが登ってきた道沿いにやってきている、ということは、来た道を戻れば確実に鉢合わせしてしまうという事だ。 
とりあえず逃げようと言ったは良いがどうしたら良いのか解らない。すると、Bが「ここ通れそうだぞ!」と茂みの方を指差した。 
そこへ行ってみると、近くまで行かないと解らないであろうくらい細い獣道のようなものが下へと続いている。ただし、この道がどこへ続いているか全く解らないうえに、俺たちが登ってきた道とは完全に反対方向だ、当たり前の事だが逃げれるには逃げれるが車からは遠ざかる事になる。 

その事はAもBも解っていたのだろう、この獣道を下るかどうか躊躇していると、 
突然耳に違和感を感じた、感覚としては車で山を登っていて気圧差で耳がおかしくなる感じが一番近いだろう。AもBも同じ違和感を感じたらしく戸惑っている、その時俺はふと下のほうを見た。すると、例の物体はもうすぐそこ、恐らく二の丸であろう平地の部分までやってきていた。 

もう迷っていられるような余裕も無い。 
俺は2人にもうあれが凄くそこまで来ている事を伝えると、おもいきって獣道のある茂みを下る事にした。 
2人もそれに続き、殆ど茂みを掻き分けるように道を下っていくと、後ろの方からAが「ヤバイ、もうすぐそこまで来てる!急げ!」と言ってきた。 
俺が後ろを振り返ると、例の黒い物体がもうあと10mくらいのところまで近付いてきている。 
俺たち3人は最早草や木の枝をかき分けることすらやめ、がむしゃらに獣道を駆け下りた。 

どれくらい走っただろうか、暫らくすると木の間から舗装された道路が見えてきた、俺たちは泥だらけになりながらも必死で殆ど転がるように道を下り、なんとか舗装された所までたどり付くことが出来た。 
その時、突然金属質の耳鳴りのような音が聞こえ、次いで後ろから「バチンッ!」と何かが弾けるような音が聞こえてきた。びっくりして後ろを振り向くと、そこには例の黒い物体はなく、爆竹か何かを破裂させたような、そんな感じの煙が漂っているだけで俺たちは呆然としてしまった。 

その後、民家も無いような山道を散々迷い、殆ど真っ暗になる頃にやっと最初に車を停めたところまで戻る事が出来た。 
結局その後もあれが何だったのかはわからない、そもそもあんな体験をしてまた同じ場所へ戻る勇気などなかったし、そんな事をしても俺たちに何の得も無かった 
からだ。