N811_hurubitatannsunohikidashi_TP_V

ある日、買い物に行く最中、何気に粗大ゴミ置き場を見ると箪笥が置いてあった。

今の安普請な感じな作りの物では無い、要所要所に飾り彫りの施された金具が取り付けられた立派な桐箪笥だ。 
ぱっと見た限りではその箪笥は何処にも壊れた箇所がなく、間違っても粗大ゴミ収集場に置くような状態とは思えない。 
だが、目立つ位置に粗大ごみ収集の為のシールが貼られており、明らかに捨てる為におかれた物なのだろう。 

 ……何でこんな良いのを捨てるんだろうなぁ、勿体無い……などと思いながらあれこれ観察し、 
そしてやっとその理由を見て、俺は即座にその場を立ち去った。 

 ――目が合ったのだ、箪笥の半開きとなった小物入れの戸の隙間から此方を伺う、何者かの目と。 

 その後、買い物の帰り道に恐る恐る同じ場所を通った時には、既に箪笥は其処には無かった。 
出来れば、誰かが拾ったのではなく、収集業者が回収して処分したと思いたい。