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ちょうどCが戻って来て様子のおかしい俺を見て 

C「どうした?なんかいた?」 

「いた!聞いた!女の声!」 

C「落ち着けって!裏見て来たけどいなかったよ。
 とりあえず中探すしかないだろ?無理なら鳥居で待ってるか?」 

どっちも嫌だった。が、一人になるのが一番嫌だったから。渋々中に入る事を決めた。 

CはIQが多分3位しかないがためか怖いと言う感情がないと思う程度胸があった。 

C「玄関の扉が閉まってたから中じゃないと思ったんだけどなー。」 

Cがそっと扉を開ける。確かにごく普通の家と言う感じだ。 

居間があり、台所がありと言う感じ。 

ただ床に薪のようなものが一面に転がっており、一歩ずつ丁寧に歩かなければならなかった。 

C「おいおい、ここにいなかったらあと二階位だぞ。思ったより狭くて隠れるような所ないし。」 

病院に入った時、いやあの声を聞いた時から完全に信じてなかったCの話を思い出し、ビビっていた。 

居間を抜けた先に確かに階段はあった。 

この頃から暗闇に目が慣れて来て(何故ちゃんと色々な物がハッキリ見えたか憶えていない)俺は階段の下に立っていた。 

何故か俺はその階段の先にある部屋から目が離せなかった。 

C「うわっ!」 

C「これ見てみろよ。」 
手に取るのは嫌だったので、Cの横から覗くように見てみると、それは家族写真だった。

一見普通の家族が写っている。恐らくプロが撮ったような、そんな感じがした。 

そしてCが驚いた原因がわかった。 

初老の男性が赤ん坊を抱いている。 

その赤ん坊の顔が抱いている男性より遥かに歳をとっていた。

そういった病気なのかなと思ったが、その表情はこちらにむかって睨んでいる。 

この写真を撮った人はこの写真を立派な額に入れてとっておこうと思うだろうか? 

俺ならそれはない。 

そしてそんな事ないだろうが、この赤ん坊は長い月日の中でここに面白半分で訪問して来る人々に対してこんな表情になってしまったんだろうとその時は本気で思った。 

Cはその写真を丁寧に戻し 

C「ここ入ってから物音一つしないけどおかしくね?こんな古い家誰かいればきしむ音位するだろ?もしかしていない?」 

一階は一通り調べたし、あとは二階位しか調べようがなかった。 

初めは釣られてやろうとしていたがもうそんな余裕はなかったため俺は二人を呼んだ。

「Aー、Bー、わかったからもう帰ろう!」 

返事がない。 

Cも同じように呼んでみたが同じ。 

そしてもうどうしようもないので、かなり嫌だったが二階に上がる事にした。 

Cが前で俺が後ろ。一歩ずつ上がって行く。一番上までCがたどり着いたのに対して俺はその二段下。 

Cは扉の前に立つなりおもむろに開けた。 

「いた?」 

小さい声で聞いた。 

Cは返事をしない。Cのケツ辺りをつんと押してみるが反応がない。 

洒落にならんと思って 

「おい!!」と怒鳴ってしまった。 

そしてCはこちらを振り向き言った。 

C「うっそーん笑」 

笑っていた。まんべんの笑みで。

取り敢えず俺達は階段を降りた。さてどうするかと思ったら、何故かCは入り口に向かって歩いて行く。 

「おい、外はいないだろ。」 

Cは歩くのをやめない。俺はついて行きながらもまだ探すからと呼び掛ける。 

Cは何を俺が言っても、そうだねーとかどこかなーとか言うばかりでどんどん歩いている。

そしてとうとう病院から出てしまった。 

そこで俺はある事に気付いた。
 
出発前Cから聞いたDの事。 

階段を登った後の出来事が余りにも酷似していた。

その事に気付いた時、心臓の鼓動が大きくなるのを感じだ。 

Cはそのまま帰り道を歩き続けた。 

勿論俺が止めに入る。 

「おい、いいかげんにしろよ!AとBどうするんだよ!」 

もう返事もしなくなった。 

でも、いくら戻った所でAが見つからなきゃ車が出せない。

勿論Aが鍵を持っているんだから。 

一人でまた病院に入るなんてとてもじゃないけど出来ない。 

とにかく俺はAを止めるのに必死だった。 

結局竹やぶを抜けて鳥居の所まで戻ってしまった。

Cはどこかうつろな感じでAの車の方を見ていた。 

俺も何気なく見てみると、そこにはBが車の車の前で屈み、下を向いていた。

俺は車まで走った。Cも歩きながらついてくる。 

「B!大丈夫か!?Aは!?どこにいる!?」 

勿論車内にもいなく、まわりにいる様子もない。Bは怯えた様子でまだ下を向いている。 

C「なあB、お前二階の部屋入ってないんだろ?」 

さっきまで口を閉ざしていたCがBに問いかけていた。 

C「俺、B、あの部屋で何を見たのか聞きたい?聞きたいよな。先に言っとくけど、俺はだいぶ参ってるし、冷静じゃないから。」 

なんでこんな事言うんだろう?Cの表情はとても落ち着いて見えた。でもどこか諦めに近い顔をしていたのかもしれない。

Bが下を向いたままコクっとCの問いかけにうなづいた。俺もうなづいた。 

C「階段を登って扉を開けたらそこは病室だった。下の階は病院って感じじゃなかっただろ?」 

確かに一階は普通の家だった。 

C「病院で使いそうなものが沢山転がってたよ。それで…」 

「何を見たんだよ!結論を言えよ。」 

C「結論?ああ、いくら探してもAは見つからないし、車にも戻ってこないよ。少なくとも今夜は。なぁB。」 

意味がわからなかった。 

車は?どうすんの? 

Bは黙ったまま。 

C「あの病室さ…いや、あの病室だけ、部屋がピカピカだったんだ。後の扉は開けてないからなんとも言えないけど、診察室や他の病室もあったかもしれないけど、とにかくあの部屋は完全に今も使われている。じゃなきゃあんなに綺麗なはずがない。」 

異様な光景だったと思う。今は使われてない病院、勿論誰も住んでないはずの場所に、たった一つだけ普通に奇麗で清潔感がある部屋がある。

Cは言ってた。絶対ホームレスとかそういった方々が住んでるとかそういうことじゃない。何度も言ってた。 

こんな隠れた場所で眠っている病院。

簡易的なお墓。そして綺麗な病室。 

想像力豊かな人ならよからぬ妄想もしてしまうだろう。

俺もそうだった。 

俺、B、Cは何度もAに電話をしたが出なかった。

そして朝日が昇る頃俺達三人は歩いて帰りに向かっていた。 

隣町といっても車で数十分かかる所だから、かなり歩いた。 

完全に明るくなった頃BがAの家に電話した。

母親が出て、Aは家で寝ているとの事だった。車の件を上手く誤魔化して話すと、Aが起きたら取りに行くと言う事だった。

こうして俺達のhigh病院探検は終わった。 

病院前で聞いた女の声、奇妙な写真、それと、触れてはいなかったが、幾度となく感じた視線、最後までわからなかったのは俺達四人二組はなんで一度もはち合わせにならなかったんだろうということ。これは未だにわからない。