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姉ちゃんは読書が好きで、

毎日本屋か図書館へふらふら行っては二時間立ち読みで読破するという生活をしていたらしい。 

翌週、三軒隣のおじいさんが亡くなった。 

また翌週は、そのお隣の婆さん。 

家族でも「不幸が続くね」なんて言ったのは、俺も覚えている。 

で、同じ地区だと回覧板で回るから、葬式とかわかるんだが、地区が違うとよくわからない。 

姉ちゃんは、また、本屋へ向かって自転車を走らせた。 

すると、地区を外れた辺りにまた葬式が出ていた。 

また翌週は、その5軒先。 

少し薄ら寒い思いがしたが、姉ちゃんは本が読みたいから通い続けた。 

もう1ヶ月は葬式が続いている。 

でも、地区を移動していくから、誰も気づかないのではないか?と思ったらしい。 

葬式はまだ続いた。 

もう10軒目という頃、姉ちゃんは見た。 

本屋の帰り、その日は珍しく本を買った。読むのが楽しみでわくわくして自転車に乗り込んだらしい。
 
もう夕方は過ぎて、辺りは夜の闇に包まれていた。 

外灯の明かりが煌々と道を照らす。 

ふと、不気味な気配に気づいて顔を上げると、ある家の屋根に何かいる。 

真っ黒な、棒のような人間。 

屋根のアンテナの辺りに立っている。 

真っ黒なそれを中心に、その家は黒い霧に包まれていた。 

姉ちゃんは、凄く怖くなって、慌てて帰った。 

まあ、帰ったら、そんなのも忘れちゃって本に夢中になったんだと。 

翌日も、すっかり忘れて本屋へ向かった。 

そしたら、そこの家葬式だったって。 

葬式が出る家がそれからたまに分かるらしい。