015KAI319_TP_V

関西圏の田舎の村の出来事。とある山間部の集落に転勤になったAさん(うちの親戚)は、
ある時、村の可哀想な女の子の話を聞いたんだって。 

その女の子(B子・20代前半)は、両親を早くに無くした後、資格を取って健気に働いていたんだが、職場のストレスなどから精神を病んで引きこもりになってしまったらしい。 
彼女の弟や親戚達が、交代で世話をしにいっているという。 

「B子ちゃんは美人なのにねえ・・・可哀想にねえ・・・」 

「・・・ほら、あの子はお母さんも早くに亡くなったから・・・」 

薄幸そうな美人についてちょっと興味を引かれたAさんは、 
何かその女の子の力になれないかな?とお年寄り達に詳しい話を聞き始めた。 

「Aさんは優しいねえ。でも、あの子はちょっと難しいんじゃないかねえ」 

「ちょっと、思い込みが激しすぎるというか・・・男が絡むと、ねえ・・・?」 

言葉を選びながら、お年寄り達はB子について語り始めた。

B子が精神を病んだ理由は、以前の職場の男性に関することだった。 
それも・・・B子自身が、相手の男性に執拗なストーカー行為を働いていた為に解雇されたのだという。 

「その男、別れる時にB子ちゃんに何か酷いことでもしたんじゃないの?」 

恋愛関係のもつれなのでは?と疑問を持ったAさんの質問に対して、 

「いやぁ・・・その人はBちゃんに手を触れた事さえ無かったというんだよ」 

「一回だけ。一回だけ、用事があって話をしたら・・・あんな事に、ねえ・・・」 

B子の奇行は実家に帰ってからも続いた。 
地域の盆踊りで久しぶりに再開し、ほんの一度だけ会話した地元のある男性(C男)にも、 
同じように思い込みによるストーカー行為をやり始めたのだ。 
C男には当時、仲の良い女の子がいたのだが、B子は彼女にも嫌がらせをしていたという。 
(現在、C男とその彼女は地元から離れて遠くへ引っ越したそうだ) 

「C男君はねえ・・・C男君のお母さんもねえ・・・」 

「実は、Bちゃんのお父さんも、C男君のお母さんをずっと好きだったらしいんよ」 

「・・・お父さんだけでなく、ほら、お祖母さんも・・・」 

「ああ・・・あったねえ、そういえば、だいぶ昔の話だけど」 

Aさんはさすがにゾオッと背筋が寒くなった。 
お年寄り達の話によると、B子の家系は男女を問わず、戦前の大昔からC男の家系の人間に執着しストーカー行為を繰り返していたというのだ。 

B子の家系は、B子をはじめ美男美女が多いが、C男の家系は容姿はそれほど優れているわけでもない。 
親子で趣味嗜好が似るというのはあるかもしれないけど、それにしたって。 

地元の人によると、B子自身は子供の時はごく普通の子供のように見えた。おかしい所など無かった。 
ある時期から急に親や先祖の行動をそっくり真似して、常軌を逸した行動をするようになってしまうのだという。 
そしてC家の人間はB家をことごとく振って、他の人と結婚する。 
これもまた先祖の行動をトレースするかのように。 

B家とC家、何の因縁があってこんな状態になったのかは全く分からないんだけど、 
基地外じみた精神異常ストーカーと、その被害者の話を、よくあること、とあくまで世間話のついでといった感じで話すお年寄り達に、Aさんにはよりいっそうの怖さを感じたという。