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中1の時に3泊4日の自然教室で県境にある山へ行ったんだ 

んで、宿泊2日目の夜に泊まる前から決めてたイベントの肝試しをやろうってことになった 

ルートは1番麓側にある広場から、Y字の分岐路を山側に登って管理棟まで真っ直ぐ登るってやつ 

もちろん、その途中には脅かし役が手ぐすね引いて待っている 

クラスの女子がキャー怖いとか言うなか、

ビビらされる心配のない脅かし役の僕やクラスの奴らは、三々五々に隠れんぼ気分で別れていった 

定番のトイレに潜むヤツ、人っ子ひとりが余裕で隠れれる側溝に潜るヤツとか色々いたけど 

目ぼしい場所は先に取られてしまったので、僕はY字の根本あたりにある窪地に隠れた
 
その窪地はルート脇にある上、そのすぐ後ろはツツジが植わっているから、

伏せれば厨房の身を隠すのに丁度良かった 
 
しかもルートに近いってことは、すぐに飛び出して脅かす事もできる 

我ながら良いチョイスじゃんとか思いながら、音を立てないよう雑草にうつ伏せた

暗闇の中、腕時計のバックライトを隠して女子が来るのを待っていると 

「おい」 

不意に後ろから野太い声がしたので、反射的に背後を振り返った 

後ろはツツジの茂みしかないし、僕以外は誰もいない 

一番近くに潜んでいるヤツはトイレの中だけど、

聞こえた声はエコーのかかっていないおっさんの声だった 

成長期で声変わりしたりしてなかったりするお年頃だが、いくらなんでも老けこみすぎている 

それに引率の教師の声でもない 

おっさん(仮)の姿を見つけようとして首を巡らせていると 

「誰にも言うなよ」 

ドスの効いた声がしたあと、大きな鳥が飛び立つようにトイレ近くの桜の枝が揺れた気がした 

最後の脅しのお陰で、脅かし役のヤツに怖くてその声を聞いたか訊けなかったけど 

あれは天狗に脅されたんじゃないかなーと、今はそう思っている