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某星祭りに泊まりで行ってみた。 
会場付近に着いたのは夜遅く、林道の路肩に車が延々と停められていた。 
最後尾に付け、車を出ると何も見えないくらい真っ暗だったが、見上げると木々を割って光る川の様な星空が見えてテンション上がった。


テントが入ったリュックを担いで、足元を照らしながら坂道を登った。 
真っ暗で一人の山道だが、車が並んでいて怖さは感じない。 
かなり歩いてやっと会場入り口に着いた。大砲の様な望遠鏡が見えた。 
テントサイトとなっている松林の中に緑色のテントを張った。ライトと小銭を持って出店が並ぶ会場に向かった。子供の頃の夏休みに戻ったような気持ちだった。

星祭りとしては結構規模の大きなものらしく、光学製品のブースが沢山あった。深夜に近い時間だが、人も沢山いるしお店もやっている。 
ビールと串焼き肉を食べながら、様々な望遠鏡や双眼鏡を覗かせてもらった。フジノンの大型双眼鏡が衝撃的な見え方だった。 
想像以上に楽しくて、テントサイトに戻ったのは2時を過ぎた頃だった。

俺のテントの場所が分からなくなってしまったんだ。 
似たようなテントがたくさんあって、深夜暗い中あまり照らすのも気が引けて。 
確かこの辺りと松林をうろうろしていた。そのうちに林を抜け、学校にあるグラウンドのような場所に出た。

こんなに広くて平らな場所なのに、テントは一つもなかった。 
松林の中に丸く空いた広い空間。光も無く星が良く見える。何故ここで見る人がいないのか?林道でも望遠鏡を設置している人はいたのに。 
暗い広場の真ん中あたりに何か立っているのが星明かりで見える。

遠いがライトを向けると、記念碑のような、何かオブジェのようなものがある。 
近づいていくと、強い違和感。それは観音様の様なものだった。闇に立つ黒いそれを目の前にして、よくわからないが寒気がした。碑に何か書いてあるが読まずそこから逃げた。 

林に戻ってもう一度よく探すと自分のテントは見つかった。夏なのに山は冷え、寝袋に入っても体は暖まらなかった。 
あのそばにテントは張りたくないと思った。