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先輩は元々面倒見のいい人なんだが、同僚が気にしいで大人しすぎるせいか、 
特にその同僚の子のことを気にかけてるみたいだった。

民度が低いとかよく言われるバイトなんだが、俺のいたとこは比較的平和な店舗で、休日にバイト同士で出かけたりとか、お互いの家に行ったりすることがよくあった。 
その日も例に漏れず、俺と先輩で(バイト仲間で実家暮らしの)後輩の家に遊びに行ったんだが、後輩のケータイに電話があって、畑の人手が欲しいから手伝いに来てほしいとのこと。 
後輩が畑に行くなら帰るか、と帰り支度でしたものの、なんだかんだあって成り行きで一緒に手伝いに行くことに

畑の手伝い自体は難なく終わり、むしろおやつに晩ご飯までご馳走になって有難い限りだったが、後輩のおじいちゃん(後輩家族とは別居、初対面)に帰りにこそこそっと話しかけられた。 

「あの兄ちゃん(先輩のこと)、生霊ついてんぞ」 

な、なんだってー 

正直いきなりそんなことを言われてかなり戸惑ったのだが、苦笑して補足説明を入れてくれた後輩いわく、おじいちゃんはいわゆるみえるひとで、後輩にもおじいちゃんが関わる不思議体験がいくつかあるとか。 
後輩のお父さんと釣りの話で盛り上がっている先輩には聞こえないように、こそこそとおじいちゃんから話を伺ったところ、

・先輩には生霊?がついてる 
・生霊は生霊なのたが、先輩に悪影響はゼロで、むしろ守護霊状態 
・外見の特徴から生霊は同僚の子だと思われる(写メ見せて確認取った) 

おじいちゃんが言うには、同僚の子は自分に親身にしてくれる先輩のことがすごく好きで、半端なく好きで、うっかり生霊飛ばしてる感じ。 
ただ、付き合いたい、とか私が先輩を幸せにする、とかそういった感情ゼロで、ただ純粋に先輩のことが好きでひたすら先輩の幸せを願うタイプのせいか、 
生霊になっても悪影響を出さずに、むしろ同僚の生霊に先輩が守られていたり運気を上げてもらっている状態だとか。

「こんなにあったかくて綺麗な生霊なんてはじめて見た」と仰っていた。 

ただ、今は守護霊な同僚だけど、生霊であることには変わりなく、 
何かの拍子に歪んでしまう可能性もあるので、できれば何とかした方がいいとのこと。 
何とかって言ってもなー、無理矢理引き剥がすのも(できるかどうかは別として)なんか可哀想な話だし、 
かといって先輩に同僚の生霊ついてますよーなんて言えないし、まさか同僚に、先輩に生霊飛ばすのやめろよとかなおさら言えないし、 
とその後、後輩と顔合わせる度に二人で頭を悩ませていたのだけれど、俺達が何もするまでもなくあっさりと問題は解決した。

実は同僚のことが好きだったらしい先輩が同僚に告白して、先輩と同僚が付き合い始めた。 

二人がくっついたあと、先輩と同僚とで後輩の家に遊びに行ったらしく、 
たまたま居合わせたおじいちゃんが大層驚いていたそうだ。 
何でも、両思いになったことによるのか、守護霊な生霊が本物の守護霊にランクアップしていたらしい。 
そんな現象を目の当たりにしたのは初めてで、おじいちゃんから話を聞いた俺も後輩も人の思いってすごいなーと感心しながら 
ムダになった生霊なんとかしよう作戦のメモをシュレッダーにかけた。