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中学生時代に通っていた自分の技術の担当の先生の実体験。 
仮にA先生とする。 
その先生だが、趣味は登山でよく親友のBと一緒に登山に行くのだそうだ。 
その日も、3日泊りがけで山を登ることになったのだそうだ。 

一日目。 
何時の模様にBと一緒に山を登り進めるA先生。 
途中きれいな景色を眺めたり、途中にあった地蔵に無事登山を終えれるよう拝んだり、ちょっとした切り株に座って弁当食べたりもしたそうだ。 
気が付いたら日も沈み、大体山の中腹まで登っていたので、その日はキャンプを張れる広場で寝ることにしたらしい・ 

深夜。何かがテントの下を這うような感覚で目を覚ましたA先生。 
どうせ虫だろうと考え、二度寝をしようと目をつむった。 
その時、ふと尿意を感じたA先生は、外へ出ようとしたらしい。 
すると、外に置いている靴の数が合わないのだ。 
一足は自分。一足はBのもの。では、もう一足の草履はだれのだ?

眠たい頭でそう考えたA先生は、後ろから「くすくす」と聞こえる女性の声に頭が覚醒したという。 
振り返ると、テントの隅、ちょうどBが寝ている方の角に着物姿の女が体育座りで座っていたそうだ。 
額を膝の上に置き、ちょうど顔が見えないような体制だった。 
驚くA先生。 
外へ飛び出し、靴を履くのも忘れ駆け出したらしい。 
走って、走って、走って。

気が付いたら、寝袋をまとった姿でテントの中で目を覚ました。 
時間は夜中。先生はどうやら夢を見ていたらしかった。 
その時、暑さのせいか、夢の所為か嫌な汗を体中にかいていたと言っていた。

嫌な夢を見た、と思って居ると、不意に襲ってくる尿意。 
夢とのデジャヴを感じ恐る恐るテントの四隅を確認する。 
しかしそこには誰もおらず、Bの煩い寝息が聞こえるだけ。 
外の靴も確認したところ、人数通りの靴が乱雑に脱ぎ捨てられている。 
先生は安堵しつつ、草むらへと走り用を足した。

さて、ようも済ませたということで再び寝ようとしたA先生。 
寝袋に入り、両目を閉じた。 
すると、「ざ。。。ざ。。。ざ。。。」という音が遠くから聞こえたらしい。 
どうせ他の登山客だろうと気にしていなかったら、どうやら音が自分のテントの付近までやってきた。

それに加え、音は足音だけではなかった。 
「しゃらん、しゃらん」という金属同士がぶつかるような音。 
「かつん、かつん」という、何か固いものが石にぶつかる音。 
そして、詳しく聞き取れないが低い幾人もの男の声で唱えられる、お経のような声。 
それらも、足音と混じりきこえたと言っていた。 
この話を離してくれていた時、「たぶんあれは錫杖だったんじゃないかな?」と先生は笑いながら言っていた。 

笑い事じゃないよ先生。

二日目。 
朝、Bに起こされたA先生。 
そのままテントをたたみ、再び山を登り始める。 
テントの周りにはとくに何か足跡のようなものとかはなく、きっとあれも夢だったのでは?と思ったらしい。 
二日目も無事山登りは終わり、日が暮れるころにはちょうど山頂へきていた。 
この調子なら、明日には降りる際に山道から少しそれ国道にでて、そのまま家に帰れそうだという話になり、その日は山頂にあるログハウスに泊まることになったという。

その時、他にも別グループの登山客と意気投合し、その夜は夕飯を一緒に食べたり雑談したりして、12時を過ぎるくらいまで語りこんだと言っていた。 
そしてそのまま部屋へ戻り、夢の中へ。 
その日は、特にこれといった夢を見なかったという。

三日目。 
早朝、昨晩のグループより先にログハウスを出ることになった先生たちは、そのグループの人たちとログハウス前で記念撮影を取った後、今度は山を下りはじめた。 
順調に下っていき、まあ最終的には無事国道まで出てバスに乗り家に帰れたわけです。 
先生の登山話はこれで終了。 

けれど、その一週間後。

Bが三日目にとった写真を現像して持ってきた。 
他にも写真はいくつかとっており、どれもきれいに撮れていたが、件の写真のみ少しぶれていたらしい。 
とってくれたのが相手グループの一人だったのだから仕方なかったらしいが。 
それでも、その写真に写っている人たちはみな肩を組み、仲良さげにうつっていたという。 

ある一人を除いて。