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若い頃、祖父は海軍士官で某大型艦の砲術士をしており、生還を期さない殴り込み作戦にも参加したことがあるそうです。 
戦後、自宅の床の間には祖父が勤務していた艦の大きな金属製の精密模型が飾られていました。 

そんな祖父も数年前に他界しました。亡くなる前は脳障害を起こし酷い状態でした。 
そして亡くなる直前に事は起こりました。 

「高め二、右寄せ二…」 
「近、遠」 

それまではあまりはっきりしない錯乱、うわごとを言っているような状態だったのですが、突然、目を見開いて若いときに戻ったかのように大きな声で叫びました。 

「早く!早く!来ないでくれ!頼むから来ないでくれ!あっちに行ってくれ!もう駄目だ、注水!」 

そして叫んで力尽きたかのようにすぐ後に亡くなりました。 

その後、祖父の遺品を整理していたときに件の模型に異変が起きているのを発見しました。 
第二砲塔が引きちぎれて、砲塔周辺が焼け焦げていたのです。 
床の間周辺や、掃除機パックの中などを必至に探し回ったのですが結局、第二砲塔は見あたりませんでした。 

後に調べてみると、祖父の乗っていた艦は戦闘中に第二砲塔が吹き飛ばされ、祖父は艦橋でその光景を間近で見ていたそうです。 

祖父は亡くなる瞬間、どこにいたのでしょうか。ひょっとしたらあの地獄のような闘いを再び目にしていたのかも知れません。 
祖父が向こうで戦友達と安らかに休んでいることを祈るばかりです。