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彼の実家にある裏山の奥には、神様が住んでいるのだそうだ。 
その御名はカガシサマ。 

平安時代の公家みたい衣服を着ているが、首から上は赤楝蛇のそれなのだと。 
御丁寧に烏帽子までつけて。 
実家ではかなりの昔から目撃されていたらしい。 

当初は物の怪扱いされていたそうだが、いつの間にか神様みたいな扱いに変わり、 
明治の頭には先祖の一人が小さな祠まで造ったのだという。 

しかしこの御先祖様、祀りはしたものの実際に何かを願うことはなかったらしい。 

実家に伝わる話では、祠に初めて願掛けした日の夜、カガシ様が夢枕に立ったそうで。 
「おお、早速聞き入れていただけましたか」 
そう喜ぶ御先祖に向かい、カガシ様は短い文句を口にして消えた。 

「小面倒くさいことをわざわざここまで言いに来るな」――と、ただそれだけ。 

このため、カガシ様に何かを願うことはしなくなったのだとか。 
ただそれでも御先祖様は、祠の手入れを欠かさなかったと聞く。 
今の代も、簡単ではあるが祠の世話をしているそうだ。