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オレが高校生の頃、自転車乗ってたら事故に合ってしまい脚を複雑骨折し、入院する事になった。
いろんな人が見舞いにきてくれた。
ある日、親父の古い友人(寺の住職/以下:住職)が来てくれたんだけど、
いろんな話してたら、いきなり

住「おい○○、気分悪くないか?」って、聞いてきた。
オ「いや、別に。脚は痛いけど。」
住「そうか。それならいい。大事にな。」って、その日は帰っていった。

けど、次の日から毎日住職が見舞いに来てくれるわけ。
特に何かあるようでも無く、普段のようにたわいもない話をして帰る、そんな感じ。
オレら兄弟は、住職に小さな頃から可愛がってもらっててとりわけもう一人の親父みたいな存在だし、気にも留めてなかったんだけど、さすがに6日目ともなると悪い気がしてきて、

オ「痛み引いてきたし、心配してくれるのは本当に有り難いけど、オレもう大丈夫だから。」
住「うん?そうか?けど、もう少し来させてくれ。」
オ「?なにそれ?仕事さぼりたいの?」
住「ま、そんな感じかな?」
オ「ハハハ、何だよそれ。けど、ホントに大丈夫だからね。」
それからも住職は見舞いに来続けてくれたんだが。

11日目に事は起こった。
まさかの発熱。
住職が病室に駆込んできたところで、意識がとんだ・・・。

4日間、ひどい発熱で昏睡状態だったらしい。
原因不明。
それでも5日目、嘘のように熱が下がり回復。
両親と弟も覚悟を決めてたらしい。
会話出来るようになって親父にその話を聞いた時は正直血の気が引いた。

こうだ。
住職は駆込んできた途端、看護師の制止を振り切って
オレの衣服を脱がし体中に札を貼っていったらしい。(もちろん大事なところにも)
そしてオレの目の前に20cm角程の蓋の開いた木箱を置いて、何やら不気味なお経を唱え始めたらしい。
看護師も医者も異様な光景を目の当たりにして、もはや制止どころじゃなくなってたらしい。
30分後、家族が駆けつけた時も続けてて、結局7時間もの間お経を唱えて、
最後に何やら大声で叫んだかと思うと木箱の蓋をし、お札を貼りまくり、
親父に
「しばらく、発熱は続くが○○はもう大丈夫だ。今日はもう帰って寝る。」
と、木箱を持って帰っていったそうだ。

翌日、まだ発熱で起きないオレと家族のもとに住職はげっそりとした顔でやってきた。
そして、親父に話した。

住「実はな、最初にお見舞いに来た時、○○に憑いてるのが見えたんだよ。」
父「は?」
住「いやいや、こういう職業してるもんで見えるんだよ。」
父「何が?」
住「世間では、おそらく『死神』と言われてる類いのものかな。病院にはよく居るよ。
コレに憑かれると何日か後あるいは何ヶ月か後には死ぬ可能性がある。
普段は見かけても、その人にお迎えが来たんだなあ~程度にしか感じないんだが今回は違う。
人を差別してるわけじゃないけど、親友の、まだ高校生の息子だ。
死ぬには早すぎる。ほっとけんだろ。
この辺りは突っ込むなよ、住職の前に自分も人の子だ。
だから、ヤツが動き出さないか毎日様子を見に来てた。
けど、もう大丈夫。
○○からは離れてもらった。
今は、持って帰った木箱の中に封印してある。
未来永劫、うちの管理下に置いておく。
信じられない話だろうが、もうしばらくすると○○の身体も元に戻るから安心してろ。」

唖然とする家族を尻目に「じゃあな。」と帰っていった。
んで、5日後に目覚めたというわけ。
嘘か誠かわからないけど、元気になった事が何よりの証なのかなと、家族一同安心した。

それから何日か後、オレの親友Aが見舞いにきてくれた。
授業のノートなんか持ってきてくれて、1時間くらい話したかな。
「また来るよ、早く治せよ!」
そう言ってAは病室から出て行った。

バターンとドアを開け、住職が血相を変えてやってきた。

住「逃げた!」
オ「?!」
住「ンン?お前に憑いてない!! 誰かここに来てなかったか?」
オ「友達がさっき帰ったけど・・・。」
住「何!そいつは何処だ!!」

ガシャ===ン!!

外で耳をつんざくような衝撃音がした。

事故だあ!事故!事故!
外で人が大勢騒いでいる。

丁度病院の入口で車と友人の乗ったバイクが正面衝突。
なんとAは即死・・・。

住職はがくりと肩を落として
「さっき様子を見に行ったら封印が破れて木箱の蓋が開いてた。
札が足りなかった・・・のか。」

まもなくして無事退院してから、A宅へ線香をあげにいった。
複雑過ぎてやり切れない気持ちでいっぱいで涙が止まらなかった。
ご両親にもごめんなさいとも言えない。
もどかしい。

後日、住職は悲しい目つきでオレに語った。
「封印が解けて、○○のところへ帰るのは間違いないと思ったんだが
ヤツも死の可能性が高い方に憑いたんだろう。
お前に憑いたらまたオレにやられるとでも思ったんだろう。
狡猾なやつだ。
しかし、オレはオレで間違った事はしていないと今でも思う。
これから先彼の死を一生背負っていかないとならん。
事実を受け止めて彼の分までしっかり生きろよ。」

頑張って生きるよ、オレ。

終。
※この事故は当時の新聞にも出てたそうです。
 S県での約25年位前の出来事だそうです。
 ちなみに先輩と今でも話するんですがお兄さんも住職もご健在だそうです。