TSURU170308-029_TP_V

仕事で森林公園の掃除をしていた時のこと。
箒とゴミ袋を下げて歩いていると、行く手の木立の間に動く物がある。
ふりふり振られている犬の尻尾だ。



「野良でも入り込んだかな?」
追い払おうかどうしようか悩んでいた矢先、犬が向きを変えた。
見ていた彼は、思わず箒を取り落としてしまった。

その犬には首から先が無かったのだ。
断面は墨でも流したかのように真っ黒に見えた。
そのまま彼の方へ歩いてくる。魅入られたように動けない。

そして、何事もなく犬は彼の横を通り抜けていった。
すれ違う瞬間、何かと目が合う。
首断面のその奥、身体内の暗がりに、光る小さな点が二つほど見えた。

硬直した身体が動くようになったのは、かなり経ってからだったという。
以来その公園での業務が、少し憂鬱なのだそうだ。