GAK92_fusimiinari_TP_V

数年前、関西のある山であった話元々山登りが趣味ってわけじゃなかった。
何時だったか初詣に伏見稲荷に行ってその時山を一周してからたまに散策するようになった

伏見稲荷の千本鳥居行った事ある人は知ってるかもだが
所々に鳥居から外れて下に降りたり上に登ったりするルートがある
そのまま進むと普通の民家だったり集会所?ぽい建物があったり、木で出来た舞台があったり
まぁ色々あるんだけど、そういう裏道的なのを歩いたりするのが何となく好きだった

その山でも同じように、メインの遊歩道的な所から外れた道を選んだ
確か秋口だったから、日は暮れ始めていて
真っ暗になる前に早めに切り上げて帰るかな
そんな事を考えながら民家が見える方向へ降りて行ってた


山道で目の高さくらいの場所に緑色の光がぼんやり浮かんでいる
俺自信も海釣りをやった事あるから知っているが、夜釣りに使うケミホタルの光
山の中でケミホタルが光ってるのか、最初は理解出来なかった
何かの注意書きでもあるのか?
看板があるわけでもなく、ただただケミホタルの付いたウキが浮かんでいた


よく見ると、その下にチラチラ鈍く光る物がある


大型の魚用の釣り針がぶら下がっていた
何だ?放置式の害獣対策?
でもウキがあるって事は誰かが待ってるってことだよな?
ケミホタルの先から、恐らくあるはずの道糸を辿って視線を動かす
クネクネ曲がった枝の中、真っ直ぐな枝、いや釣り竿が伸びている

木の上に腰掛けていたそいつは
目尻から耳に掛けてを筋張らせながら
こっちを無表情に見ていた

声にならない音が「うっくっ」と漏れる
息が詰まるのは小学校に休みの日に侵入して
非常ベルを押したのが後日バレた時以来だったかもしれない

見つめ合ったまま、少しずつ距離を取って
息が整った瞬間に全力で逃げた


たぶん変質者とかの類だとは思うけど
彼は何を考えて山中で釣りをしていたんだろう
以来、1人で散策は行かない事にしている