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単独登山中に雨に降られた時のこと。
濡れるのを避けようと、せり出した岩の下で野営することにした。

真夜中に、バシャバシャという喧しい音で目が覚めた。
何者かがどしゃ降りの雨の中を歩き回っているらしい。
目の前で水飛沫が上がったが、足音の主の姿は見えなかった。
それは私の目の前を行ったり来たりし続けていた。
最初は恐ろしかったのだが、だんだんと鬱陶しくなったのを憶えている。
結局、その足音に追い立てられるような形で、私は岩場を出ることにした。
足音がついて来なくなった広場で、ようやく休むことができた。

帰ってきてから、その山系で大規模な崖崩れがあったと知った。
ちょうど私が山に入っていた時期だ。
最初に私が野営していた岩場が崩れたかどうかは、確認していない。