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今から二十年ほど前の話だ。
当事小学生だった自分は、毎年夏休みには千葉の別荘へ行っていた。

別荘と言っても山の中にあるただのほったて小屋だ。辺りには殆ど人家などない。
のどかだけがとりえの場所であった。
ある日少し離れた場所にある小川に自分と姉、あと友達数人と遊びに行った。
そこはコンクリートで出来た橋がかけられた場所だった。
周りは田んぼしかなく、その橋の周辺数十メートルの部分だけは開けている。
しかし少し進むだけで、小川の周りは鬱蒼と茂る木に覆われてしまう。

私たちはその開けた部分で水遊びをしていた。
ふと小川の奥、林の中を見た自分はそこに人影を見た。
大人と思われる人影と、その横に連れ添う様に並ぶ子供の人影だ。

まだ子供であった自分は、その時は恐怖など感じず「こんな所に人が?」と驚いていた。
そして誰なのか確かめようとして近づいて行った。
その人影は自分が少し目を話した時に消えたしまった。
さらにその場所には倒れた竹が横倒しになっており、枝が邪魔で立ち入る事が出来ない。
さらに水深も自分の腹まである。

先程見た人影は、少なくともくるぶしやふくらはぎ程度の水深であった。
その後、近所の友達の親にその事を告げると「それは河童かもしれんね」との事を言われた。
当時は「河童見ちまったよ~」程度の感想しかないのだが、今考えると河童ではないと思う。
なぜならその周辺には多くの防空壕が存在し、自分の家の裏山にもかなり長い防空壕らしきトンネルがあるからだ。

客観的に見ても怖くもなんともないが、これが自分が経験した山の中での不思議体験の一つである。