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僕の父親は、米国と日本人のハーフ(祖父が日本人で祖母が米国人)なんだ。昔の話になるけど父親が小学校の時に母親(僕からするとお婆ちゃん)が事故で死んだ。
父親は一人っ子だから家族三人で東京に住んでいた。
仕事の都合もあり父親とお爺ちゃんで、関西圏へ引っ越しした。
お爺ちゃんは体が弱く、お婆ちゃんの稼ぎもなくなったから、生活は貧困を極めた。 

また、差別もなく、東京で友達と元気いっぱい遊んでいた父は、
その白人ゆえの独特な風貌が田舎では相当目を引くらしく、
引っ越し先では全然受け入れられなかった。 

マイキーが、引っ越し先で友達百人できますように!
マイキーくん大好きだ!東京に帰ってきたら絶対に遊ぼう!
マイキーなら大丈夫だよ!

とみんなが書いてくれた色紙を三畳半の自宅で見つめ、父は毎日泣いていたという。

そんなある日々、マイキー(面倒だからマイキーに統一します、僕の父さんです)は、トボトボと河川敷を歩いて一人で帰っていた。可愛い猫がいた。
動物、とくに猫が大好きなマイキーは嬉しくなり、猫を追い掛けた。 
猫はビニールテントに入った。今でいうホームレスのお家だ。そこには誰も居なかった。
中は片付いていたが汚いコタツと汚い家具等々しかなく、マイキーは内心ギョッとしてた。 
しば~らく猫を撫でていると、七十代くらいのお爺さんが入ってきた。ここに住んでいるらしい。
お爺さんは耳が聞こえないらしく、ニコリとお辞儀すると黙ってコタツに入った。 

マイキーはやさしい眼差しであるお爺ちゃんに、徐々に心を開きました。 

数日間通ってみて、自分の話をしてみようと思いました。
亡くなった優しい母親のこと、自分のために汗まみれで働きまくる父親、学校で馴染めない自分… 

お爺ちゃんは、耳が聞こえてないはずなのに、無言でコックリコックリ頷きます。
お爺ちゃんから、何らかのアドバイスがもらえると思っていましたが、お爺ちゃんは黙っていました。 
マイキーが無言で猫を撫でていると、お爺ちゃんが小さな鈴を渡してきました。
マイキーは鈴の音が心地よく、すこし気分が上がるのが分かったそうです。
ありがとう、といいその日は帰りました。

次の日、学校へ行くとランドセルに付けてみた鈴をクラスメートたちが褒めてきました。 
この鈴、なんや音がキレイやん!ちびっこくてカワエエなあ~!どこで買うたん?
何人かのクラスメートと会話も弾み、マイキーはだんだん会話する友達ができた。 

少し日にちが経ってから、クラスメートに河川敷のお爺ちゃんに貰ったんだと打ち明け、
二人で河川敷に言ってみた。例のビニールテントがあったので、中へ入った。
そこには、例の猫とその横に薄汚れた猫が二匹並んで寝ていた。

クラスメートは、あっ!と声を出した。
『俺、この猫知ってんで。この右側の猫な、耳聞こえてないねん。』
マイキーはビックリして反射的に二匹の猫を触ってみた。 

猫はピクリともしない。『死んでる…』ぎゃあ!っとクラスメートはテントを出た。 

マイキーは涙が溢れた。ポタっポタっと手の甲に涙がこぼれる。
マイキーは、どうしようもなく切なくなり、薄汚れてる猫を抱き上げた。 
首輪をつけている。首輪の先にあったと思われる鈴は、ついてない。
もう一匹の猫には鈴がついていた。 
このガリガリの猫が、あのお爺ちゃんに変身して自分に鈴をくれたんだ、とマイキーは思わずにいられなかった。 

胸から込み上げてくる思いでマイキーは大泣きしていた。
そこにクラスメートが入ってきて、
『この猫、夫婦やったんや。いつも一緒やったもん。左側のキレイな方が何回も赤ちゃん生んだんやけどな 、全部、保健所とか取りにきよってな…』
クラスメートもそこまで言って泣いていた。 

我が子を守れなかった父親の悲しさがあり、
悩んでるマイキーを我が子のように助けにきてくれたのかな、とマイキーは思った。 

マイキーはその後、関西で友達が増えて極貧ながらも、
なんとか生きていくことはできたそうです。 

今は都内在住ですが、たまに二人で関西のあの場所に旅行で行くと、僕とマイキーはあの猫たちにお礼を良いながら河川敷で手を合わせます。