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鹿児島出身の祖父(故人)から聞いた話をひとつ置いて行かせて下さい 

祖父は某漁師町(イリノ、という名前を聞いたのをぼんやり覚えています)の網元の出身で子供の頃から海で遊んだり魚を獲ったりして、海に慣れ親しんで大きくなったそうです 

ある夜、じいちゃんが家で寝ていると、夢の中でひっきりなしに誰かが呼ぶ声がしたそうです 

で、放っておくのもアレなので、ひとまず応じてみる事に 

じいちゃん「誰だよ、こんな夜中に…」 

夢の人「申し訳ない、すぐに来て欲しいんだ」 

じいちゃん「どこへ来いってんだよ」 

夢の人「お前の家の近くに小さな入り江があるだろう、そこで待ってるから急いで来てくれ!」 

じいちゃん「はあ…」 

夢の人の妙に必死な様子が気になり、じいちゃん、眠い目をこすりつつ、思い当たる入り江へ 

しかし、肝心の場所には誰もおらず「きっと、何かのいたずら電波か間違い電波だろう」と 

からかわれたような気分で半ばプンプンしながら帰宅、再び就寝 
ところが、寝付いてからしばらくすると、またしても夢の中にさっきの人が登場… 

じいちゃん「さっき言われた場所に行ったけど、お前いなかったじゃん、何なんだよ一体!」 

夢の人「ごめんごめん、お前が来る少し前までは、確かにあの場所にいたんだよ」 

じいちゃん「じゃあ何でいなくなったんだよ…」 

夢の人「実はあの後すぐ流されちゃって、今は長崎鼻にいるんだ」

じいちゃん「おい!」 

流された、という言葉が妙に引っ掛かったじいちゃん、慌てて夜を徹してせっせと長崎鼻へ 

到着して周囲を探してみたところ、夢の人と全く同じ姿の水死体が海岸に漂着してたそうです 

何で自分に助けを求めて来たのかは分からないけど、これも何かの縁なのだろうと 

じいちゃん、夜中に一人で彼の亡骸を引き上げて、近くの墓地に土葬してあげましたとさ 

じいちゃんいわく「怖いより何より、疲れて寝てた深夜に呼び出された事に腹が立った」との事です

勝手に土葬については、私もその点はちょっと疑問に思って、話の後、じいちゃんに事の次第を聞いてみたのですが 

(つか、この話を聞いたのが消防の頃だったので、私の記憶もやや曖昧なんですがw) 

夢の人の亡骸を引き上げ、近隣の網元同士で連絡を取って身元を調べてみたものの、 名前や住所の手がかりになる物もなく、顔も原形を留めていない上、他の網元さんたちも全員「うちには今んとこ行方不明の者はいない」との事ですっかりお手上げ 

仕方なく、警察の人と近くのお寺の人に事情を話し、無縁さんとして埋葬して貰ったそうです 

その頃はまだ、じいちゃんの地元では土葬がほとんどで、火葬は稀なケースだったそうです 

つい近年まで、南日本の小さな島ではまだ土葬の風習が細々と残っていたくらいですから、明治だか大正だかの鹿児島の端っこなら、まだ土葬がメジャーでもおかしくなかったのかも…