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一ヶ月くらい前のことなんだが、友人とカニ買いにドライブ旅行した。 
旅行前に旅程を練っているとき、源平の戦関連のとある武将の墓がルート上にあるのに気づいた自分達は、帰路そこに立ち寄ることにした。 

割と早い時間にカニ市場を後にしたんだが、なにせ兵庫の日本海側から山陽へと抜けるルート、高速を使っても5時間はゆうにかかる。 
なんとか目当ての場所を示す看板を見つけたときには、秋の日はとっぷりと暮れかかり、落ち葉の散り敷いた細い舗装路を10分ばかり辿り、山の斜面を小さく切り開いてつくられている件の墓所にたどり着いたときには、あたりはすでに暗くなっていた。 

まあ、墓所とは言うものの、その武将がそこに埋葬されているわけではなくて、後世になって彼の一族が建てた、まあ供養塔というか記念塔みたいなもので、 
特にオカルティックwな要素があるとも思えなかったし、さらに現在では受験にご利益アリ、的な扱いをされているそうなので、同行の友人の娘が今年受験ということもあって、お詣りをして行くことにした。 

まずは型どおりにご挨拶を済ませ、そのあとで人の背丈ほどの五輪塔と石碑(石柱?)をカメラに収めさせて頂いた。 
フラッシュの光のせいか、周囲の木立の闇がさらに濃くなったように感じられた。 

縁起を記した看板の撮影に四苦八苦している友人に背を向けて、参道の石段の方へ 
ゆるゆる歩いていたそのとき 

ブ………ン ブー………ン 

低い、うなる様な振動音が左手の山林の中から響いているのに気付いて、ギョッとした。 
例えるなら、スズメバチの滞空音、もしくは携帯のバイブ音。

それがもっと低く響くような『音』、そして微かな『振動』。 
ふと、自分の携帯が着信してるのかと思い、バッグから取り出してみたが、着信はなし。 
しかも『圏外』の表示。 

ブー………ン ブー………ン ブー………ン 

(切通しの中に…ス…スズメバチの巣でもあるんだよな…) 
(でも、こんな寒くなった時期に、巣の中でブンブンやるか…?) 
(まさかこの茂みの向こうに誰か倒れるか隠れるかしてて、そいつの携帯が鳴ってるとか…?) 

風に運ばれて微かに聞こえてくる、麓の集落のだろう犬の声や車の音。 
木のそよぐ音、枯葉の落ちる音…それらの中で、そのブーンという振動音は、とても異質に感じられるものだった。 

「お待たせw もういいよ、帰ろうか?」 

得心のいくまで撮影を終えたらしく、にこにこと戻ってきた友人に、少し迷ったが聞いてみた。 

「あのさ、なんかブーンブーンて携帯のバイブ音みたいのん、聞こえね?」 

「んにゃ?そんな音せんけど? あ、もしかして携帯…いや、着信とかないわ。何?」 

即答された。 
でもまだ聞こえて…いや響いて来ているのだ、その音は。 
それ以上言い募って友人を怖がらせてもいけないと思い、急かすように車へと急ぎ、その場を後にした。 

こうして書いてみると何が怖いのか、みたいな感じもするんだが、在り得ない場所で 在り得ない音を聞くってのも怖かったし、鼓膜を直に震わすような、あの振動も気持ち悪かったんだ。 
もともと自分の耳は、低周波の音を感じ取ってしまうようなので、なんか電波とか拾っちゃったのかな~とか考えて、自分を納得させてるんだけど。 

あと、いわゆる『ファントム・バイブシンドローム』じゃね?wと言われる向きもあろうかとは思いますが、 
もともと着信の少ない人間なので、それは無いと断言できますorz