123 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ sage 2009/03/24(火) 21:25:13 ID:WZDMLMy80 
取りあえず、姉を場末のホテルへ送り届けた。 

ごく普通のビジネスホテルだが、先程まで滞在したマンションに比べれば、まるで 
極楽のようにくつろげた。 
何より空気が軽い。部屋も明るく感じられた。 

しばし話をする。 
姉はもうすっかり、あのマンションを引き払う決意をしたようだ。 
相談の相手になりながら、心底ホットする。 
どうやら、もう二度と彼処には行かなくても良さそうだ。 

引っ越しの段取りや、彼女の実家へ連絡をしたりしていると、急に寒気がした。 
・・・いつの間にか、周りの空気が冷たく冷えている。 

「幽霊の出る直前には気温が下がるって、そう言えば誰かに聞いたなぁ・・・」 
そんな碌でもないことを思い出していると、突然、部屋の隅で音がした。 

 バタンッ! 

二人ともびっくりして飛び上がる。 
必死で抱き付いてきた姉を背中に庇いながら、音のした方へ目を向けた。 

冷蔵庫の扉が引き開けられていた。 

 




124 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ sage 2009/03/24(火) 21:25:54 ID:WZDMLMy80 
どこのホテルでもある、冷凍庫のない小さな冷蔵庫だ。 
すぐ中にストッパーが付いていて、コーラ等の飲料缶がそこで止まっている。 
グイッと引き出せば、チェックアウトの時に精算されるタイプの奴だ。 

しばらく様子を窺ったが、それ以上は何も起こらない。 

「前に利用した人が、よく閉めていなかったんだろな」 
そんな軽口を叩きながら、二人揃って苦笑いを浮かべた。 

「まったく驚かせてくれるわね」 
姉はそう言って立ち上がると、扉を閉めようと冷蔵庫へ向き直った。 

次の瞬間。 

バラバラバラッと、中に収められていた飲料が吐き出されてきた。 

呆然とする私たちを尻目に、飲み物はすべて床の上に転がった。 
ペタンと腰を落とした姉を避け、冷蔵庫を調べてみた。 
ストッパーは硬く、かなり力を込めないと中身が出せない構造になっていた。 

一体何が缶やペットボトルを引っ張り出した? 
いや、それとも押し出したのか。 
いくら考えても答えは出なかった。 



126 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ sage 2009/03/24(火) 21:38:22 ID:WZDMLMy80 
え~、雷鳥です。 
取り敢えず、この姉妹に関するマンションのエピソードはこれで全部なのです。 
尻切れトンボみたいですが、まぁえてして現実ってのはこんなモノですねぃ。 

この後、即行で引っ越しを済ませた姉。 
一週間程度で復活すると、先に引っ越した姉の元へ転がり込んだ妹(友人)。 
新居でも、時偶今回のようなポルターガイストちっくな現象があったみたいですが、 
どれもすぐに治まったようで。 
現在は二人とも元気に過ごしております。 
この時の影響かどうか、何やら引っ越し癖が付いているみたいですが(苦笑)。 

自分も「コレでやっと縁が切れたよホント」などと考えていたのですが。 
いや、正確に言うと縁は切れています。 
ただ気になることがあって、少し調べてみたのですよ。 
ああ本当に余計なことを・・・。 

何が気になったかというのは、正に>>88でID:szwkBT2D0さんが指摘されたこと 
だったりします。 
(あまりにも的確な指摘だったので、当時話を聞いていた関係者か?と 
 一瞬疑ってしまいました) 
トイレのドアがですね、何故か普通の部屋などに付けられるタイプの、飾り気無い 
代物だったのですよ。 
前に「姉が入ろうとするとトイレのドアが閉められる」というエピソードを書き込みし 
ましたが、その時も呼ばれて、自分が確認していたのです。 

「あれ?これおかしいぞ?」と姉妹には話したのですが、大家に談判するのも 
面倒くさいということで、二人ともスルーしていたみたいですが。 

(この項、続きます)


127 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ sage 2009/03/24(火) 21:45:55 ID:WZDMLMy80 
(続き) 
それから少し気を付けて内装や据付家具を見ていたのですが、何というか、どことなく 
奇妙な取り合わせがそこかしこに見受けられまして。 

他の部屋に入ったことのある業者仲間に聞いてみたところ、部屋によって色々と違いが 
あることまでわかったのですが。 

前の話にも出て来た、不動産関係のお姉さんから、 

 え~~~・・・? 

みたいな話も聞きまして。 

いや、確証はない話ばかりなのですよ。 
ただ、何か凄く不気味というか嫌というか・・・。 

と言う訳で、明日以降に書き込む予定の話は、すべて私の脳内で補完された妄想 
だということにしておいて下さい。 
本当に想像の域を出ないんで。 

そんな類の話は嫌いだという方には、予め断っておきます。 
どうかスルーして無視してやって下さい。


216 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ sage 2009/03/30(月) 20:11:46 ID:iCx89N3g0 
姉妹の引っ越しが決まった後、不動産の仕事をしている知り合いと話す機会があった。 
彼女は私と友人(妹)との共通の知り合いでもある。 
些か気になっていたことがあったので、丁度聞きたいこともあった。 

 姉妹の入ってたあのマンションなんだけどさ、何か内装がおかしくないか? 
 普通使わないような意匠とか、本来使われない家具が使われたりしてたぞ。 

彼女はどうやらそのことを知らなかったらしい。 
興味を持ってくれたのか、これについて少し調べてみると言った。 

しばらくして連絡があった。 
「あそこのマンション、確かに変な改装ばかりしているみたいだよ。 
 特に八階、九階なんだけどね。 
 すぐに開けられないといけないドアとかが、そうでない仕様になっているとか、 
 酷いのになると勝手に間仕切り増やしてたり、壁に穴開けたりしてたみたい。 
 うん、当然契約違反になるから追加で修繕費出して貰ったみたいなんだけど」 

「風水的にもおかしなことしていたみたい。 
 いや、今の住居における風水ってのは半分験担ぎみたいなところがあるんだけど、 
 あそこのは何かそういうのと違うようなのよ。 
 先生って綽名で呼ばれてる人がいるんだけど、その人が言ってたの。 
 壁や間取り、色調や模様の改修なんか見てみると、何ていうか一つの癖が見受け 
 られるっていうのね」 

 どんな癖だって? 

「癖というか、悪意みたいなモノを感じるんだって。 
 家相というか家の気を歪めるとか、鬼門の位置を変えるようなって・・・ 
 詳しい話されてもこっちはわからないからね、よく理解できなかったけど」



217 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ sage 2009/03/30(月) 20:12:37 ID:iCx89N3g0 
(続き) 
「あと変なことも言っていたなぁ。 
 孤独を作り出そうとしている訳でもないだろうに、とか何とか。 
 家の間取りで友達が出来なかったりすることもないでしょうにね」 

 その人、確かに“コドク”って言ったのかい? 

「よく覚えていないけど、多分そんな言葉を使ってたと思う。 
 場違いだなぁと感じたから、何となく印象に残ってるよ」 

私はその先生と呼ばれる人を知らない。 
だからどんな知識を彼(彼女?)が持っているのかも知らないが、ひょっとしたら 
先生は全然違う言葉を述べたのではないか、そう思えて仕方がない。 

先生は“蠱毒”と言ったのではなかろうか。 

確か大昔から伝わる呪法に、そう呼ばれたものがあった。 
多くの毒を持つ虫を壺の中で共食いさせると、最後に残るのは最強の毒を持つ 
個体となる。その生き残った虫を使役するのが、蠱毒という呪術だ。 

しかし、ここで何故その名が出てくるのか。
 


218 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ sage 2009/03/30(月) 20:14:08 ID:iCx89N3g0 
(続き) 
ここから先は、すべて私の妄想です。 
そう思っていただきたいと思います。 



・・・元々、祟りなどに由来のある場所に建てられたマンションがあった。 
そこの部屋内に少しずつ手を加えた者がいる。特に上階の部屋に。 
この地に彷徨う何かの流れを歪め、押し込めるように。 

そういえば、彼女に部屋には、おかしなモノが下から上に抜ける、霊道みたいな 
ものがあると以前に聞いた。 
アレは他の部屋にもあったのではないだろうか。 
それがある程度まで濃縮されたことで、これまで耳にしたオカルト的な出来事を 
起こしていたのではないか。 

これは別の話で聞いたことだが、霊というモノは合体することもあるらしい。 
最初は生前の姿を取るのだが、融合が進むと、段々手や足、顔などのパーツが 
増えていき、また目や口なども歪んで人に見えなくなるのだと。 

寝室に現れたという、足だけで出来たボール塊の話を思い出す。 
アレは霊というかそのようなモノが、溶け合っていく最中の姿ではないのか。 

彼女の姉が部屋から見下ろした駐車場にいた、黒い影。 
見られて上がってきたそれを、何も知らない彼女が招き入れた。 
この影は非常口標識みたいな形を取り、部屋から出て行ったらしいが、その後に 
他の所帯での怪事は治まっている。 
アレは何かのトリガーだったというか、呪法の一つではなかったのか。 
彼女の部屋で、何かを濃縮するための引き金



219 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ sage 2009/03/30(月) 20:16:43 ID:iCx89N3g0 
(続き) 
やがてその何かは、彼女一人にターゲットを絞る。 
一度人の形を崩したモノが、また段々と、人の形を作り始める。 

そして。 

生きている人間に危害を与える力を持った時点で、最強の“毒”が完成した。 

これを仕組んだ何者かは、出来上がった“毒”を回収し、何処かへ持ち去った。 
だからマンションでの怪異は、もう起こらなくなった・・・ 



以上、全然裏付けも何もない、まったくの妄想でした。 
実際、その先生が本当に蠱毒と言ったのかどうかも定かではありませんし。 
調べる気もありませんし。 

件のマンション、本当にパッタリと何も起こらなくなったそうです。 
立地条件は元々便利な場所なので、現在は空き部屋もなく、非常に優良物件と 
なっているのだとか。 

私に直接の被害があった訳ではありませんが、非常に印象深い体験でした。 
正直あまり関わりたくないような体験でしたが(汗)。 

長々と続いたマンション話、これにてすべてのネタ終了です。 
本日分のカキコに至っては、もう本当に想像だけですので、その旨ご了承下さい。 

これよりまた、いつものパターンに戻ろうと思います。 
それでは。