368 : 1/3 ◆hraA6qfSug [sage] 投稿日:2009/08/01(土) 23:46:20 ID:YCH0iMKm0 [1/7回(PC)]

ビビリのくせにチャレンジャーな鈴木が呪怨のビデオを借りた。 

なんで今更呪怨なのかといえば、今までは怖くて手が出せなかったが 
見える人になった今、挑戦してみようと思ったとのこと。 

俺はホラーは文章以外は全く駄目(静止画も駄目)で、 
呪怨なんて文庫本の表紙を正視できないレベルなので 
もちろん断固拒否したが、鈴木に


「あれー、もしかして怖いんだろ?」


と言われ、ビビリに馬鹿にされたことにムカついたので一緒に見ることにした。 

金曜日のバイトが終わった後、講師室でその話をしていたんだが、 
そしたらバイト仲間の高橋が聞きつけて食いついてきた。 
で、呪怨の話を聞いて、


「俺も見たい!」


とか言い出したので、結局高橋の家でみることになった。 
素面じゃ堪えられないことが分かっていたので 
酒でも持っていこうかと思ったが、途中でトイレに行きたくなったら 
むしろ俺死亡フラグだから止めておいた。
 
369 : 2/3 ◆hraA6qfSug [sage] 投稿日:2009/08/01(土) 23:48:19 ID:YCH0iMKm0 [2/7回(PC)]

高橋の家は、普通の一人暮らし用アパートの二階だった。 
聞けばアパートに住んでいる全員が大学生なので、 
少しくらいうるさくしてもお互い様らしい。 

その日は暑かったので窓を全開にして、ビデオをつける。 
見始めてから三十分位すると、鈴木がソワソワし始めた。 
さてはトイレに行きたいけれど怖いから一人で行けないんだな、馬鹿め。 

今思えば俺がかなり馬鹿なことを考えつつ、 
俺は両手で目を覆い、すき間から画面を見ていた。 
高橋は画面を食い入るように見つめている。 

んで、また少したったとき、鈴木が窓の方を見るなり 
すごい勢いで俺にひっついてきた。 
俺はむしろそれにびびって悲鳴を上げて


「なんだよ!」


と叫んだのだが、そしたら鈴木が窓の方を思いっきり指さした。 
反射的にそちらを向くと、網戸が閉じられた窓のサッシに 
仄白い手がかかっている。んでもって網戸をすり抜けてんのね、その手。 

これから人が入ってくるぜ!って感じの手のかけ方だった。 

網戸は物理的に無視されてるから人じゃないんだろうけど。 
ゲームの零の刺青の聲に、鏡から黒い手とともに 
何かが這い上がってくるシーンがあったけど、 
あれを想像して貰えばいいと思う。手は白かったけど。 

んで、そんなものを見てしまった俺は情けなくも再び悲鳴を上げて鈴木を振り払い、 
無我夢中でビデオを止めるとそれはスルっといなくなった。 
突然ビデオを止められた高橋はいらだたしげな顔で 


「は?なんで止めんの?」


とか言ってたけど、俺も鈴木も


「窓が……」


とか意味不明なことしか言えなかった。 
ビデオを止めたのは、脳内によぎった 


「恐怖系を見てると集まってくる」


っていう知識に基づいてなんだけど、あれ本当なんだな……。



370 : 3/3 ◆hraA6qfSug [sage] 投稿日:2009/08/01(土) 23:49:27 ID:YCH0iMKm0 [3/7回(PC)]

そのあと俺はもう呪怨を見る元気はなく、 
高橋のベッドを借りて布団を被り速効で寝たけど、 
鈴木と高橋はその後も呪怨の他に借りてきたやつと合わせて 
ホラー映画三本全部見たらしい。 

そのせいで、俺よりビビリだったはずの鈴木に 
キングオブビビリの称号を与えられてしまった。 


「めっちゃ怖かったけど、作り物って自分に言い聞かせれば 
 見られないことはなかった」


というのは奴の話。 

キングの座はいつか返上しようと心に決めた。