411 : 1/5[sage] 投稿日:2010/07/07(水) 23:07:24 ID:cQdVfgkq0 [1/5回(PC)]
この間、俺が1人で残業をしてるときに電話が鳴った。 
夜7時半くらいだっただろうか。 
俺が勤めているところは小さな町工場で、 
建っている場所も街からちょっと外れた山のそばのため 
この時間になると周囲に人影もない。 

「はい、○○工業です」 
「ああ、サンジかぁ?」 

しわがれた爺さんの声だった。 
サンジとは何のことか全くわからないが、聴いた瞬間 
俺は「ああ、また間違い電話か」と思った。 

というのも、うちの会社の電話番号は、地元のタクシー会社の 
電話番号と1番しか違わないために、病院を使う爺さん婆さんが 
よく間違えてうちに電話をかけてくるのだ。 

「いえ、違いますよ」 
「んぁぁ?」 
ガチャ 

要領を得ない年寄りの電話は一方的に切ることにしていた。 
こっちが会社名を名乗った時点で気づいてもらいたいものだが。 

また電話が鳴った。

 
412 : 2/5[sage] 投稿日:2010/07/07(水) 23:08:23 ID:cQdVfgkq0 [2/5回(PC)]
「もしもし、○○工業です」 
「ああ、サンジかぁ?」 
「違います。タクシーの番号なら、×××-××××ですよ」 
「んぁぁ?」 
ガチャ 

一度の電話で間違いに気づかないとは相当ボケてるのか。 
こっちはまだ事務処理が残ってるんだからもうかけてくるなよ。 
しかし、その願いもむなしくまた電話は鳴った。 

「もしもし、○○工業です」 
「ああ、サンジかぁ?」 

腹が立ってきた。もういっそのこと「そうです」と言ったらどうなるんだろう。 
俺はいたずらのつもりで「そうです、何か御用ですか?」と言ってしまった。 


「おお、サンジか。じゃあ今からそっちに行くからな」 


え? 
この爺さんはどこに行こうとしてるんだ?爺さんの勘違いで 
見当違いの場所に出かけてトラブルになってもまずい。 
俺は間違いだと伝えるために、今かかってきた番号にリダイヤルした。



413 : 3/5[sage] 投稿日:2010/07/07(水) 23:09:10 ID:cQdVfgkq0 [3/5回(PC)]
「もしもし」 若い女の声だ。 

「あのー、○○工業といいますが、今ですね、そちらのお爺さんから電話がありまして」 
「は?なんですか?」 
「お宅のお爺さんから、今うちの方に電話がありまして、それで・・・」 
「なんですか?うちに男はいませんけど」 
「え?お爺さんというか、男の人自体住んでらっしゃらない?」 
「なんなんですか?いたずらなら警察を呼びますよ」 


どういうことだこれは。 
かかってきた番号にそのままかけなおしたのだから 
番号の間違いということはない。でも電話先には女しかいない。 
さっきの爺さんは一体なんだったんだろう 

ドガッドガッドガッ! 

突然俺がいる事務所のドアが激しく叩かれた。 
びっくりしてドアの方を見ると、ガラス戸の外には誰もいない。 
呆然としてドアを眺めてるとまたドガッドガッドガッ!と激しい音がした。 
なんなんだ、と思って恐る恐る近づいてみると、ガラス戸の外の 
死角になっていた部分に、顔と腕が赤く焼け爛れた男が立っていた。 
俺は「うおおおおおおお」と叫び、腰を抜かしてしまった。 
よく考えたら、そのドアには鍵がかかってない。