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この豪邸は私が住んでいたアパートの近くにあった。 

ネイビーのキャプテンが定年後を妻と暮らすため、1920年に建てられたそうだ。 

その老夫婦がそこで暮らしたのは、ほんの短い間で、近所の人が気付いた時には、小人の家族が移り住んでいた。 

小人の父親は、ビジネスで大成功をおさめ、かなり裕福だったらしい。母親も小人だったが、二人の娘は、正常な体型だったそうだ。
 
父親は、その豪邸を増改築しながら、小人の夫婦が使いやすい家にした。 
すべてのドアノブは、低い位置に付け替え、トイレも低くて小さい物にした。 
敷地内にプールを作り、使用人が住む離れを2棟増築した。 

小人の家族はその豪邸で、静かで幸せな日々を送ったが、ある夜何もかもが崩れてしまった。 

その夜、父親が突然取り憑かれたかのように暴れだした。 
ナイフを持った父親は、妻と娘二人の喉を切り裂いて行った。 
倒れている家族を一人ずつ2階へ運ぶ時、流れた血が、地獄への道標を描いたかの様に、床を赤黒く染めた。 

頑丈な作りのドアがついているクロゼットに、三人を放り込み終えると、使用人の住む離れへ向かった。 

メイド二人が住む離れに入り、二人の喉を切り裂き、一人ずつ母屋の二階のクロゼットに放り込み、外から鍵をかけた。 

そして、父親は拳銃で自らの命を絶った。

警察が通報を受けて現場へ行ったのは、事件がおきてから2日ほど経ってからだった。 * 2日も経っていた理由は不明 

警察が一番初めに発見したのは、拳銃で自らの命を絶った、ここの家の主だった。 

1階から道のように2階へ続いている血の跡を辿って行くと、重いドアで閉ざされたクロゼットがあった。 
ドアをこじ開けると、狭いスペースに折り重なる様に、5人の遺体があった。 
閉め切っていた狭い空間の中で、死後3日に目になったであろう遺体は悪臭を放ち、閉じ込められた時にまだ生きていたであろう何人かは、そこから出ようと壁やドアを引っ掻き、叩き、息を引き取ったのだろう。 
爪の跡、掌で叩いたでが、血によって描き残されていた。 

他に身寄りがいなかったであろう小人の豪邸は、凄惨な跡を残したまま、重たい門に鍵をかけ閉鎖した。 

そのうち噂が噂を呼び、学生たちに人気の心霊スポットとなった。 
事件直後は毎晩のように、叫ぶ声、怒涛する声が、何かを引っ掻くような音と共に聞こえてくるように、近隣の住民は恐ろしさにふるえていたそうだ。 

何年かして、母屋が火事になり外観だけが残った。この火事の原因や起こった日についての正式な情報は残っていない。 

また、その敷地内では、黒魔術のような悪魔を降霊する儀式が行われていて、儀式の生贄となった動物の死骸が見つかっている。 
現在でも儀式は引き続き行われているそうだ。 
1970年から1980年くらいまでは、毎晩のように、叫び声や、壁を引っ掻くような音がする聞こえていたそうだ。 
1990年に入り更に心霊スポットブームになった頃でも、敷地内に足を踏み入れると、悲痛な叫び声が聞こえてるとの事だ。 
小人の家族は90年経った今でも、あの悲惨な事件を繰り返しているいるのかもしれない。 

現在売りに出ているそうだが、今の所買い手が見つかる様子はないとの事だ。