607 : 1/3[sage] 投稿日:2010/07/22(木) 13:51:12 ID:5US2iqVi0 [1/6回(PC)]

まだ自分が大学在学中の話で、 
あれやこれやがあって、気分を変える為に引越しをすることに。 
大学のそばにある不動産屋で、大学と係わりの強いおばちゃんに 
条件を提示しつつ、お勧めの物件について尋ねると。 
「ん~、その条件なら3~4件あるわ。 
でも、こんなのもあるんだけど・・・」 
と、引き出しの中から封筒を取り出し、封を解いて自分に渡してきた。 

その物件の内容は、 
駅から徒歩2分、大学まで徒歩20分 
家賃3万、敷金礼金無し、駐車場ありだが駐車場代無し 
建ててから時間が大分経っているが、部屋も広く、板張りで押し入れあり 
トイレ風呂別、キッチンも広く冷蔵庫と洗濯機も置ける 
小さいながら庭付きの二個一の平屋というものだった。 
(建物二つがくっついている感じ) 

あまりの条件の良さに何か裏があるなぁ~と思い尋ねてみると 
愛想のいいおばちゃんの顔が曇り、「普通の人には出せんのよねぇ~」 
と、意味深な感じ。 

何か曰く付きの物件だろうと思い、詳しく尋ねてみると的中。 
前に住んでいた人は3日、その前は4日、その前も・・・ 
入居して数日の内に何らかの理由で出て行ってしまったそうな 
土地の所有者は取り敢えず遊ばせておくのもなんだからと 
格安にしてあるが、不動産屋の方が評判を気にして、貸し渋っていたらしい。

 
608 : 2/3[sage] 投稿日:2010/07/22(木) 13:52:00 ID:5US2iqVi0 [2/6回(PC)]
嫌な予感はあったが、格安である事 
おばちゃんに是非入って(なんとか)してくれと頼まれたこともあり 
その物件に決定。 
その場で書類を作って翌日入居の運びとなった 
(引越しの準備はある程度していた) 

友人の協力もあり、引越しも半日で済み、夕方から宴会になったが 
夜も更けると皆、自分を脅して帰っていった。 
その日の夜は特にこれといった事も無かったが 
3日目の夜、ネットも繋がっていないので、早めに布団に入り 
いつも通り、携帯をいじくりながら睡魔を待っていた。 

時間は2時を過ぎたくらいだったと思う。 
カリカリと、壁を何かが引っかく音がした。 
隣が何かをしているのかと思ったが、音がするのは隣と面していない側の壁だった 
なので、ああ、動物か物の怪か、何か出たのだろうと半ば諦めの気持ちでいた。 

音は続いており、足元くらいの高さから、徐々に上に上がって行き 
ついには天井から音がする様になった。 
天井に上がった音は今度は、ドタドタという音を出しながら屋根の上を走り回った。 
しばらくすると、その音はカーテンを閉めた窓の向こうに何かが落ちる音と共に消えた。 
安堵しつつも、友人に連絡でも取ろうかと思っていると 
また、カリカリという音が、窓の外から聞こえてきた。 

見てはいけないという思いと、好奇心が8:2くらいであったが 
今後もお世話になるのなら、早い内に見ておこうと思い、 
布団から出て、カーテンを開けた。



609 : 3/3[sage] 投稿日:2010/07/22(木) 13:53:16 ID:5US2iqVi0 [3/6回(PC)]
すると、窓の外には、やたらと長い手をした髪の長い人間(?)が 
じっと足元を見、網戸に手をかけ、黙々と引っ掻いていた 

無言でカーテンを閉めると、キッチンに行き、塩を持って部屋に戻ると 
窓のそばの床に盛り塩をして、布団に入って寝た。 
カリカリという音は続いていた。 

翌日、不動産屋に行き、おばちゃんに「やっぱり出ましたよ」と言うと 
「やっぱりかぁ~」と済まなさそうに言い、別の物件を紹介すると言ってくれたが 
断らせてもらった。 
おばちゃんは5万円を自分に渡し、手に負えない様なら、すぐに別の所を紹介すると言ってくれた。 

その夜も、きっかり2時になるとカリカリと音がし、ひとしきりバタバタした後 
網戸を引っ掻く音がしていたが、無視して寝た。 

1週間ほどして、パタリと妙なことは収まったが、 
それ以降も、時折、深夜寝ていると、視線を感じ起きると 
部屋の中に肩を抱くようにして 
座っているそれが居たりしたが、無視して寝てしまった。 

卒業後、近くに就職したため、今でも同じ建物に住んでいる。