966 : 落書き 1/4[sage] 投稿日:2010/11/01(月) 15:06:57 ID:Fl5e3lee0 [1/6回(PC)]
姉貴のお話。 

俺の姉貴は運が良い人間だ。宝くじを買えば、ほぼ当たる。 
当たるといっても、3億円なんて夢のような当たり方ではないのが残念なところだ。 
大抵3,000円があたる。何回当たったかなんていちいち覚えてられない位だ。 
高額なのは、100,000円が3回だったかな。その時は喜んじゃって、松阪牛だの 
本マグロの大トロなんか買って来るんで、俺も嬉しかったからよく覚えてる。 
最近は、10枚ずつの購入をやめて3枚購入にしてる。 

半年位前、会社帰りに飲んできたらしく、ほろ酔いでママチャリに乗って大コケして 
半泣きで帰ってきた。 
俺に、「自転車直してよ」って言うんで見てみると、タイヤが変形してしまっている。 
こんなの直せないんで、「店で修理しろ」と言うと、土曜日に近所の自転車屋に持っていってた。 
夜、帰宅すると玄関脇に電動機付自転車が置いてある。 
姉貴が買い替えたのかなと思ったんだが、晩飯の時ニコニコして報告しやがった。 
自転車屋で修理してもらおうと店員に見てもらっていたんだが、結構修理代がかかるらしい。 
新車か修理かという深刻な悩みの最中に、お婆さんが自転車を押してやって来た。 
店員との話を聞いていると、自転車の処分をお願いしている。 
最近弱ってきたので、高齢者専用住宅に入居する事になったらしい。 
自転車に乗るのも危なくなってきたので、持って行っても乗らないとの事だった。 
店員は、中古の販売はやらないので、処分料2,500円をもらえれば処分しますと言っている。 
姉貴は喜んで、「私がもらっても良いですか」とお婆さんにお願いし、自分の自転車を処分 
して帰ってきたのだという。


967 : 落書き 2/4[sage] 投稿日:2010/11/01(月) 15:07:42 ID:Fl5e3lee0 [2/6回(PC)]
転んだけどケガしなかった、なんて事はしょっちゅうある。 
ちょっとした事で妙に運が良いんだ。 
先週の土曜日に、その理由がわかったような気がする。 

土曜日に、北海道に住んでる父方の伯父夫婦が定年退職したということで、家に遊びに来た。 
家で2泊し、来週一杯、各地を旅行するらしい。 
伯父の家は父の実家であり、俺や姉貴も何度も夏休みに遊びに行っていた。 
だけど、伯父が家に来たのは記憶に無い。姉貴も覚えが無いと言う。 
伯父に、「珍しいね」と聞いてみると、家の新築祝いの時以来だそうだ。 
当時、俺は2才・姉貴は4才なんで、記憶が無いのも当然だ。 

滞在中は和室で休んでもらうことにして、片付けついでに案内した。 
伯父は「懐かしいな~」なんて言っていたんだが、伯母のほうが神棚をジーッと見ている。 
この伯母は、福島出身でかなり霊感が強い。ちょっとしたエピソードはあるんだが、 
それはまた機会があれば書く。 
しばらく見た後、ケラケラ笑いながら「皆に教えておきたいから、呼んで来て」と言う。 
和室の神棚の前に全員集まると、伯母さんは話し出した。 

「面白いねえ。こんな事もあるんだね。私も良い勉強になったわ。 
普通は神様が怒るんだけどねぇ、見逃してくれたのかな」 

みんな何が何だか判らない。



968 : 落書き 3/4[sage] 投稿日:2010/11/01(月) 15:08:31 ID:Fl5e3lee0 [3/6回(PC)]
「あのね、神棚にね、タヌキちゃんが居るのよ。何か狸の絵が置いてあると思うんだけどね、 
それに憑いちゃったみたい。元々悪いものではなくてね、自然のままって感じなの。 
初めは悪戯半分だったんだろうけどね。 
神棚に上げられちゃって、毎日拝まれてる内に混乱して、良い方に勘違いしちゃったみたい。」 

親父は特に信心深くは無いが、習慣で毎朝神棚と仏壇を拝んでいる。 
他の連中は、たまにだけどね。 

「必死に頑張って、神様と同じようになろうとしてるのよ。 
多少の力はあるけどね、タヌキちゃんだから些細な事しか出来ないのよ。 
でも、立派なもんよ。百年も続けば相当な力を持てるわ。行く行くは神様にもなれるかもしれない 

。 
だからね、途中で挫折しないように、ちょっとだけ扱いを良くしてあげて、その気にさせたいの。 
誰か絵を知ってる?」 

姉貴が「アッ」と叫んで、踏み台を持ち出して神棚をゴソゴソ始めた。 
神棚の社みたいになっている所の裏から、画用紙みたいな紙を引っ張り出してきた。



969 : 落書き 4/4[sage] 投稿日:2010/11/01(月) 15:10:41 ID:Fl5e3lee0 [4/6回(PC)]
姉貴が小学一年生の時に書いたものらしい。 
当時は絵が好きで、手当たり次第に書き散らかしていた。 
ある日、お袋が買い物に行っている時に、お絵書きを始めたが、途中で書くものが無くなって 
和室の押入れの襖なんかにも書き殴ったらしい。 
案の定、帰宅したお袋が激怒して、書いた物全て捨てられたみたいだ。 
その時に、お気に入りの一枚だけ隠したと言う。 
当然、みんな絵が気になる。姉貴に「見せろよ」と言うと渋々見せてくれた。 

何だか良く判らないものだ。狸?犬?猫?狐?ピカソみたいだ・・・様々な意見が出た。 
姉貴に「何これ?」と聞くと、ムスッとしながら「たしか馬」と答えた。 
これを「馬だ」と言う姉貴も凄いが、「自分の絵だ」と思う狸の感覚も素晴らしい。 
伯母のアドバイスを基に、写真立てに入れて神棚の端に置くことにした。 

「昔から、姉貴ちゃんの周りに居るのは知ってたけど、悪くないものだから放っといたの。 
こんな事になってるのは、今日初めて判ったわ。姉貴ちゃんの周りで守ってるんだから、 
姉貴ちゃんも拝みなさいね。」 
と言って、伯母さんはケラケラ笑ってた。