190 : 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ [sage] 投稿日:2010/10/06(水) 20:00:34 ID:w7PXzX4g0 [1/3回(PC)]
知り合いの話。 

彼の実家のある山には、一風変わった物の怪が出ていたのだという。 
「あの辺り山の斜面なんて、どこもかしこも棚田になっているんだけどな。 
 そこに馬が出るっていうんだ。 
 夕暮れ時、畦道をぽつねん歩いていると、いきなり後ろから馬の嘶きが聞こえる。 
 振り返ると水を張った田圃の中から、馬の首だけが伸び上がってるんだと。 
 胴体は泥の下・・・と言っても、でかい馬が潜れるだけの深さなんて無いんだけど。 
 馬ってのは笑うと妙に人間臭い顔になるんだけど、こいつもそうらしい。 
 人を小馬鹿にしたような表情で、ブルルルル・・・って笑うんだとさ」 

「デンバとか呼ばれてた。田の馬とでも書くんだろうな。 
 こいつに出くわすと、しばらく水に近よるなって言われてた。 
 引き摺り込まれるとかどうとか。 
 面は馬なのに、やるこたぁ河童と似たようなモンだね」 

「芸が無いよなぁ」 彼は最後にそう付け加えた。