376 : 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ [sage] 投稿日:2010/10/20(水) 18:33:17 ID:WAVoq6M80 [1/3回(PC)]
知り合いの話。 

子供の頃、山裾に開けた原で遊んでいると、不気味な物を見つけた。 
川の中程に緑色の物が引っ掛かっていたのだ。 
一番の怖い物知らずが水に踏み込み、それを手にして帰ってきた。 

間近で見た皆が皆、「何だこれ?」と考え込んでしまった。 
大きさは自分たちの二の腕くらい。緑色でブヨブヨと柔らかい。 
中程が肘みたく曲るようになっており、端には指にも見える突起が三本。 
間の膜は水掻きにも見える。そして何より、えらく生臭い。 

知り合いのお爺さんが通り掛かったので、呼び止めて聞いてみた。 
「こりゃカワッパの腕だ。 
 腕抜けといってな、あいつらの腕を引っ張るとポンって抜けるんだ。 
 時々そそっかしい奴腹がいて、こうやって下流に流しちまう。 
 さぁ川に返しておやり。そのうち拾いに来るからな。 
 うっかり持って帰ったりすると、家まで取りに来るぞ」 

そんな気味の悪い代物を、持って帰ろうとする子はいなかった。 
言われた通り、元の川に流してやったという。 

「あれ、持って帰ってたらどうなってただろうな。 
 河童が見られたのかな? 今考えると惜しいことしたかも」 
彼はそう言って苦笑した。