350 : 俺 ◆cLBpi8LhvQ [sage] 投稿日:2010/10/23(土) 01:29:31 ID:rZanC2L7O [2/12回(携帯)]
定時制の学校に通う二十歳過ぎの高校生なんてものをやっていた時代、仕事が縁で仲良くなったのがBだった。 
地元では有名な空手道場の娘で、当時大学生をしていた彼女は(BはAよりも年下だ)A程ではないが結構な霊感を持っており、 
その体験談は中々興味深い。今回する話も、結構な変わり種だ。 
  
  
 こっくりさん 
  
  
働きながら学校に通っていた学生時代、部活に参加する時間が無かった俺は、週に二回程ジムに通って汗を流していた。 
ジムと言っても会費を払って参加するような上等なものではなく、自治体の運営する一時間いくらのやつだ。 
Bと仲良くなってからは彼女もジム通いを始めた。 
一緒にジムに行き、終わったらスポーツドリンク片手に少々話すのが、いつのまにか俺と彼女の習慣になっていた。 
(因みにAも誘ったが、ダルいと言って断られた) 
この話を聞いたのも、ジム終わりの事だ。 

 
351 : 俺 ◆cLBpi8LhvQ [sage] 投稿日:2010/10/23(土) 01:31:10 ID:rZanC2L7O [3/12回(携帯)]
「中学生の頃、幼馴染みに誘われて何度かこっくりさんをしました」 
Bの幼馴染みはいわゆる『自称霊感少女』で、 
「あなたには悪い霊が憑いている」 
などとクラスメイトに言ってオカルトの知識を披露したり、時にはタロット占いや交霊術を行っていた。 
『本当に見える』Bは、幼馴染みの行動には何も言わず、たまに誘われる交霊術の集まりにも黙って参加した。 
その幼馴染みはBに本当は霊感なんて持っていないことを告げていたが、Bは自分が霊感を持っていることを、彼女に黙っていた。 
「とてもじゃないが言えませんよ。……私じゃなくて幼馴染みに霊感が有れば良かったのにと思った事も有りました」 
本当は霊感なんて無いのに、自分には霊感が有ると周囲に吹聴していた幼馴染みにそのことを言うのは、やっぱり躊躇われたのだろう。 
言われるがままに交霊会に参加し、何も現れないことを知りながら怖がるフリをしていたBは、次第に罪悪感を抱くようになった。 
そんな時にこっくりさんに誘われ、同時にあることを頼まれる。 
「私が10円玉を動かすから、Bもそれを手伝って。ね、Bにしか頼めないの。お願い」 
今までも交霊会で自作自演をしていた幼馴染みは、ついにはこっくりさんでも仕込みをすることにしたらしい。 
Bは断り切れず、ついには仕込みに協力することを承諾した。 



352 : 俺 ◆cLBpi8LhvQ [sage] 投稿日:2010/10/23(土) 01:33:26 ID:rZanC2L7O [4/12回(携帯)]
まずは間隔を開けて机を二つ並べ、どこからか持ってきた鏡を二つの机にかかる橋のように渡す。 
そしてその上に五十音と『はい』、『いいえ』、赤い鳥居が書かれた半紙を乗せるという幼馴染みの考えたやり方で、そのこっくりさんは行われた。 
人の居ない放課後の教室に集まった面子は、幼馴染みの霊感に一切の疑念を持たない幼馴染みの信者二人と幼馴染本人、そしてB。 
「……こっくりさん、こっくりさん。おいでください」 
鳥居の上に置いた十円玉の上に全員が指を乗せ、幼馴染みがこっくりさんに呼び掛ける。 
「こっくりさん、こっくりさん……」 
びく、と十円玉が動く。幼馴染みだ。Bは小さく驚いた声を上げ、信者の一人は凄い、と漏らす。 
幼馴染みは集中して疲れたように小さく息を吐く。役者だ。 
「こっくりさん、こっくりさん、いらっしゃいましたら返事をして下さい……」 
十円玉が動き始めた。対面に向かい合った幼馴染みの動きに合わせ、Bも十円玉を操作する。 
十円玉は打ち合わせ通り、『はい』の所へ。信者二人は息を飲んだ。Bも一緒に息を飲む。



353 : 俺 ◆cLBpi8LhvQ [sage] 投稿日:2010/10/23(土) 01:35:46 ID:rZanC2L7O [5/12回(携帯)]
自作自演のこっくりさんは続く。Bの幼馴染みは信者の二人に、 
「こっくりさんに聞きたいことを言って」 
と促す。信者二人は一回ずつ質問し、幼馴染みが十円玉を動かすことでその質問に答える。 
安全。手順を間違えなければこっくりさんは知りたいことに答えてくれる。 
信者の二人はこっくりさんという十円玉を通して答えるBの幼馴染みの言葉に喜び、楽しそうに笑う。 
信者二人の質問が終わり、次はBがこっくりさんに質問することになった。 
「……この中で一番早く死ぬのは誰ですか」 
Bが言った瞬間、こっくりさんへの質問の結果について笑いながら話していた信者二人の動きが止まり、幼馴染みがBを睨む。 
勿論、打ち合わせ通りだ。Bはこの後こっくりさんに憑かれたふりをし、それをBの幼馴染みが祓うという流れだ。 
かく、と力が抜けたようにBは顔を俯かせた。息を飲むような音。Bはこっくりさんに憑かれたフリをして、 
  
十円玉が動いた。 
  
Bは驚いた顔で俯かせた顎を上げ幼馴染みを見る。幼馴染みもこちら見ていた。 
Bと同じく驚いた顔で。