444 : 4/5[sage] 投稿日:2010/10/25(月) 22:39:21 ID:FPmbdacs0 [8/10回(PC)]
それはね、と付け加えられた続き。 

それは、夢の中で「私」の目の前で列車事故が起き、そして誰かが轢かれそうになった時に、 
轢かれそうになったその誰かが、間一髪で、助かってしまう夢……。 

そんな夢を見た日には、お婆さんは気が気ではなくなってしまうのです。 
何せ、夢の中で助かってしまうと、ほぼ例外なく、近く現実で列車による死亡事故が報道されるから……。 

それが夢の中で助かった人と同一人物ということは無いし、事故の大小も夢と現実で対応しているわけでもない。 
ただ夢の中で人が助かってしまうと、早ければ翌日にも現実で死亡事故が起きるというのです。 
本当に「まさか」と自分でも思う程の確率で……。 
そしてそれは日本国内における事故のみに当てはまり、また、人が死なない事故の前には助かる夢は見ない。あくまで死亡事故のみ。 
私でも知っているような有名な列車事故を思い浮かべ、「じゃああの事故の前も?」「あの事故の前も?」と尋ねていくと、 
ことごとくお婆さんはぐっと口を結んだまま真剣に頷くのです。 

お婆さんはその日初めて見せた暗い表情で言いました。 
「私の見ている『列車事故の夢』はきっと、現実で誰かが列車事故で亡くなってしまう身代わりなのかもしれないねぇ」 
いつもは夢の中で誰かが代わりに死んでくれるから、現実では人が死なずに済む……とでもいうのでしょうか。 
そしてそれは一種の予知夢と呼ばれるものとは、少し違う印象に私には受け止められました。 
お婆さんが自分で言うように、もし『列車事故の夢』が現実の事故の代わりに起きているとしたら、 
それは彼女が現実での犠牲者(になるはずだった人たち)を助けていることになるのでしょうが、私は「逆だ」と思ったのです。 

お婆さんの夢の中で誰かが助かってしまったから、身代わりに現実で誰かが連れて行かれてしまう……、の、では? と。 
自分のその考えに、寒気を感じて何となく身体を縮めます。

 
451 : 5/5 規制ウザッ[sage] 投稿日:2010/10/25(月) 22:47:55 ID:Nd1B9xf2O [1/1回(携帯)]
投稿しすぎと言われた続き 


妙な雰囲気になってしまい私が黙っていると、お婆さんはまたいつの間にかニコニコとした表情に戻っていて、 
「聞いてくれてありがとね」と言って私に優しく微笑みかけ、またどうやって持ったのか器用にお盆を持ち、 
私の呑み終えた空の湯飲みを台所へと運んでくれました。 


お婆さんの見る『列車事故の夢』が、現実に影響している可能性についてですが、 
今となってはもちろん、そんなこと丸々信じているわけではありません。馬鹿げているとまでは言わなくとも。 

しかし彼女の性格や口ぶりから、実際に起きた事故をネタに話を「作った」ような不謹慎な印象は感じられなかったので、 
彼女がいつもそういう夢を見ていることや、助かる夢の後にだけ現実で事故が起こる話に関しては、 
私は今でも信じています。偶然では?……とは思いますが。 


そして今これを書いている時に、何となく、ふと考えたこと……。 
いまでも彼女は、はたしてそんな『列車事故の夢』を見続けているのでしょうか。 
今夜も彼女は、そんな恐ろしい夢を見るのでしょうか。 
そして今日の人は、夢の中で、 
死ぬのか。 
助かるのか。 
さて。