528 : 宿坊1/5[sage] 投稿日:2010/10/29(金) 18:55:28 ID:xzIYkIO30 [1/5回(PC)]
初めまして。

「2日間宜しくお願いしまーす!」 
元気な早朝の挨拶を受けて、始まった1泊2日の小旅行。 
女性が3人も集まれば、騒がしいイメージがあるかもしれないけれど、このメンバーはちょっと変わっていた。 
私以外の2人は霊感持ちで、中でも一番最年少の子は人のオーラやヒーリング、チャネリングなどを仕事にしているような子だった。 
話は当然オカルト的な要素も含み、新幹線の中でぽつりぽつりと交わされる内容には、ちょっと不思議なものも含まれていた。 
霊とは分野が違うけれど、その子曰く、「モノクロ印刷の文字が、文字によって色付きで見える人がいる」という話。 
「あ」なら○色。「い」なら○色。といった具合。 
そんなとりとめのない雑談をしながら、目的地へと向かった。 
目的地は、国内某所。観光地のひとつとして知られている(場所の名前だけで特定されるようなところなので省略します)。 
到着後、まずは昼食をとり、その後事前に予約していたお店で趣味の物を見て回ったり、体験教室を楽しんだ。 
夕方になったので、本日宿泊する予定の宿坊(比較的安価な料金で宿泊できる、お寺などが運営している宿泊施設。 
精進料理や座禅、読経などに参加できる所もある)へと向かった。 

前置きしておくと私は幽霊やいわゆる物の怪の類いは全くといって良いほど視えない、何人かの霊能者さん曰く守護霊さまが 
強いそうで、怪しいモノが近づけないらしいという話なのだが、その宿坊へ近くなるにつれて、周りの景色が暗くなっていく 
印象を受けた(単に日が暮れたせいともいえない)。 
何というか、質量を、重さのようなものを感じていた。 
後になってわかったことだが、同行する2人もイヤな雰囲気を感じていたのだという。

 
529 : 宿坊2/5[sage] 投稿日:2010/10/29(金) 18:58:55 ID:xzIYkIO30 [2/5回(PC)]
チェックインをして、部屋のキーを受け取り、3人でぎゅうぎゅうのエレベーターで宿泊予定の部屋に入った。 
部屋の中は至って普通の和室。 
でも。 
そう、でも。 
そういう感覚を感じたことがある人は分かると思うのだけれど、不思議なくらい落ち着かない。 
他の2人も「視える」とはいわないが、妙な顔をしてキョロキョロしている。 
この段階では「何となく」なので、みな気のせいと割り切って、予約してあるお店で夕食をとるため一旦部屋を後にした。 
食事を終えて、部屋に戻った頃は20時を回っていただろうか。 
部屋に戻る途中、宿坊にある写経をする小部屋を見学に行った時 
(うっすらと般若心境を書いている写経紙を受付で販売してくれ、その用紙で心置きなく写経出来るようにとの配慮で 
書道セットが置かれた小部屋があった)、小部屋の扉を開いた くだんのその子が「うっ」を小さく呻いた。 
「ん~? どしたのー?」と能天気な声で応答した連れも、覗き込んで「うわー、、、」と絶句。 
私には普通の小部屋に見えるので「???」 
しつこく説明を求めると、連れの方が言いたくなさそうに「色んなモノが充満してる、こんな部屋には入りたくない」とのこと。 
そして、「心が落ち着くどころじゃない」と言い放つ。 
扉を閉めたその子も不味いものを食べたように口をゆがめている。 
そこでようやく、感覚的に感じていたことが気のせいなんかじゃあないということを、全員一致で理解した。 
とはいえ、今更宿を探す訳にもいかず、私たちには最早オバケ屋敷に近くなったその部屋へ、しぶしぶと引き上げることになった。 
部屋に戻り、電気をつけて、開口一番その子が「お塩ないかな。」 
聞くと四隅に盛り塩をしたいらしい。 
「このままじゃ安心して眠れない」という。