227 名前は誰も知らない sage 2012/04/29(日) 03:37:07.81 ID:ENPrd3310 
先日体験した話。 
俺とオカルト好きな友達とその友達の彼女で心霊スポットに行ったんだけど..... 

俺の地元だとかなり有名な心霊スポットだ。 
もう使われていない、古いトンネルがそのスポットで昔、殺人事件があったらしい。 
俺達は友達の軽自動車でそのトンネルに向かった。時間は深夜1時くらいだった気がする。 

俺とその友達はオカルト好きで、いろんな心霊スポット巡りをしていたが恐らく霊感とは無縁の人種なのだろう。幽霊を見た事がなければラップ音も聞いたことがないのでそう思っていた。 

「俺達さ、霊感とかないと思うんだ、だからさ最後に○○トンネルに行ってみようぜ、それで見えなきゃ心霊スポット巡りも今回でおしまい」そういう事を友達が言いだしたのが先日そのトンネルに行ったきっかけだ。 
そのトンネルは地元では最怖スポットで、俺達がまだ小さい頃から「あそこだけは言っちゃだめよ。ついてくるからね」みたいにまわりの大人達から言われていて、オカルト好きな俺達もさすがに手を出さずにいた。 
友達の彼女は所謂、霊感少女。某SNSのオカルトサークルで知り合ったらしい。 
その彼女は俺達がそういう怪しい場所に行く事を嫌っていて、以前何度か誘った事があるがすべて断られた。 
「本当にやめてよ、そんなところ行って、もし○○に(友達)憑いてそのまま連れてかえってきたら、あたしなにも言わずに別れるからね」 

いつもそう言って断っていた彼女が今回参加する理由は、本当に危ないところだかららしい。もう使われていないトンネルだがその近くを車で通過するだけで寒気がするのだそうだ。 
「これで最後って約束してね!あたしが危ないって言ったらそれ以上は進まないでよ」トンネルへ向う車内でそう何度も繰り返していた。 
わかったよ、と何度も適当に返事をしながら車を運転する友達の隣で、俺はいつもとは違う不安な感じがしていた。後部座席にいつもはいない霊感のある彼女が座っていたからかもしれない。 


240 名前は誰も知らない sage 2012/04/29(日) 04:18:19.46 ID:ENPrd3310 

トンネルが使われなくなったのはかなり昔なので、トンネルは勿論、そのトンネルに通じている道路も封鎖されている。 
今は新しいトンネルが別につくられていて、その新トンネル手前の脇道が旧トンネルにつながっている。 
その脇道にたどり着いたときはすでに深夜2時前だった。 
俺も友達も初めてその道を通った。 
舗装されて綺麗な新トンネルから付近からまだ五分ほどしか走行していないのに。雰囲気が全く違っていた。 
辺り一面に木が生い茂っていて、車が一台通るのがやっとくらいの幅の道路だ。 
木の枝や葉の間から少しだけ空が見える。古いアスファルトはひび割れて凹とつがあり、酷く車が揺れる。 

それからその道を十五分ほど走ると、前方に鉄門が現れた。道路を塞ぐ大きな門だった。 
「ここまできて入れないのかよ、ちょっと降りてみようぜ、ここはまだ大丈夫だろ?」友達が後部座席の彼女にそう訊くと、「うん、まだなんにも感じない」と答えた。 
車から、おりてみるとその錆び付いた門が異様に不気味に感じた。 
鉄門は太い鎖に南京錠で固定されて外れそうにない。 
登るか。友達が呟くように言って俺も賛成した。 

友達が、車に積んでいた工具箱からペンチをもってきて鉄門の上の有刺鉄線を切っている間、彼女と少し話しをした。 
「本当に大丈夫?なんか口数減ってない?」 
「大丈夫!!なんにも感じないし、行こうよ」少しにやけながらそう言う彼女に少し寒気がした。 
そんな場所に「行こう」なんて、彼女の口からはじめて訊いたからだ。 

「おい、いいぞ、ほらお前今日はスニーカーで来てよかっただろう?」と有刺鉄線を切り終えた友達が鉄門の向こう側から彼女に言った。 
うん!と彼女は明るく返事をして俺よりも先に門をよじ登り、勢いよく飛び降りた。 

着地と同時に「うぅぅ」と唸りだして地面にしゃがみこんだ。足を痛めたのだろうと思って俺も急いで門を乗り越えた。 
大丈夫か?と俺と友達が呼びかけるが返事はなく、唸り続けている。 



260 名前は誰も知らない 2012/04/29(日) 05:25:58.57 ID:ENPrd3310 

暫くそのままの状態だったので、もう戻ったほうがいいんじゃない?と俺が言うと同時に彼女が立ち上がり真上を向いて「ぎゃぁぁぁああ」と叫びだした。 

俺は異様な光景で、頭が混乱していて「静かにしないと!静かにして!」と何度も繰り返す。 
友達は彼女の肩を両手でおさえて揺さぶりながら、おい!おい!大丈夫か?と話しかける。 
彼女は急に叫ぶのをやめると、友達を両手で突き飛ばした、窪んだ道路の水溜りに尻もちをつく。 
虚ろな目の彼女が俺と友達を交互に何度か見たあと、おそらくトンネルがあるであろう奥の道にむかって全速力で走り出した。 

運動会とか体育の授業の時みたいになりふり構わず振り乱すようにして深い闇の中に消えた。 
俺達は暫く硬直していた。水溜りが小さく波打って、友達が震えているのがわかる。 
「あいつどうしちゃったの?あんな彼女見るの初めてだよ、どうしちゃったんだよ」 
「なにか見ちゃったのかも.....とにかく追いかけないと!」友達に手を差し伸べながら俺がそう言うと「駄目だ、立てそうにない、腰やられてる、駄目だぞ、これ以上奥に進むのは嫌だ、もうここに居たくない、絶対嫌だ」と俺の手を振り払って、いきなり友達が怒鳴りだした。 

「お前、なに言ってんの?お前の彼女だろ!!」俺そう言い終える前に、さっきまで怒鳴っていた友達が急に「だーめ、だーめ、だーめ、だーめ、だーめ、だーめ、だーめ」とゆっくりと繰り返し呟きはじめた。 
水溜りの水を掌で掬って自分の両腕に擦り込むように塗りつけながら、「だーめ、だーめ」と繰り返す。俺の瞳を見つめたままで。 
俺はその友達が不気味で恐ろしくなり、もういいよ、お前はここで待ってていいから、俺が彼女を連れ戻してくるから。と逃げるようトンネルの方にむかった。 
俺もその場所にいたくない、というよりも少しでもはやく友達から離れたかった。 
小走りで道を進んで行く、五分か十分かそのまま走るとトンネルの入り口が見えた、なぜかその辺りだけ薄く光が当たっているかのように古臭い石造りの輪郭が際立って見える、夜道に目が慣れたせいかもしれないがわからない。