330 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2012/05/13(日) 14:11:06.70 ID:eJoW44y20 [3/5回(PC)]
少なくとも自分と同じくらいの子供が立てたような音だ。そう思って半端じゃなく怖くなってきた。 
ビデオどころじゃない。すぐ消した。足音?はドン ドン ドンと少し間隔を置いて聞こえてくる。 
しかも茶の間の天井から遠ざかっているようだ。足音の行方を目で追う。思わず立ち上がってしまう。 
音は茶の間上から去り2階部分に侵入したようだ。まだ停まらない。俺は襖を開けて廊下に出た。 
足音の方を追う。廊下の上をゆっくり進む。その先には――階段。 
俺は回れ右して茶の間に戻った。急いでしかし音を立てないように。涙が出そうだった。そっと襖を閉める。 
つっかえ棒みたいなものを探したが何もない。抑えておけるとも思えない。俺を絶望感が襲った。 
そして遂に廊下の奥からギシッ ギシッと階段を下りてくるような音が聞こえてきだした。 
俺の脳内では貞子とか伽耶子とかが四つん這いで下りてくるイメージが出来上がっていた。 
軋む音は止まない。階段は何段あったっけ――?心臓が高鳴る。俺は咄嗟に最後の手段、 
テーブルの下、掘り炬燵の窪みに潜り込んだ。隅に体育座りをして息を潜めた。秋なのでカバーはないから 
下を覗き込まれたらアウトだ。四つん這いならすぐに視界に入るかも知れない。だがもうどうしようもなかった。


331 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2012/05/13(日) 14:36:17.75 ID:eJoW44y20 [4/5回(PC)]
ギシッ ギシッ ドドン 
遂に廊下に降り立ったらしい。抱え込んだ両膝が震え出した。両腕に力を込める。 
ドン ドン…… 
気のせいか音が大きくなった気がする。より大胆に。襖まであと何メートルだろうか? 
ドタドタドタッ 
いきなり距離を詰めてきた。「ぁあ……」思わず声が漏れる。もう襖のすぐ後ろにいるに違いない。 
襖がガタッ ガタッとぶつかりながら開いていく。四つん這いだからスムーズに開けられないのか。 
廊下側には想像した通りのモノがいた。白い服を着て四つん這いになった髪の長い、異常に長い女。 
まず両手が畳を滑るように入ってくる。肌が青白い。そして腕が長い。そのままテーブル下まで 
入ってくるんじゃないかと思えるほどだった。 
次に頭が、というか髪が入ってきた。毛先が生きているかのようにじわじわと茶の間を浸食してくる。そして 
「ぉお……ぉお……」 
まるで効果音のような呟き?を微かに響かせながら頭が入ってきた。次の瞬間腰から下が一気に入ってきて茶の間を這い始めた。 
テーブルの周りを回っているように見える。もうすぐ俺の潜む角の真横に来る! 
ズリッ ズリッ 
もっとも近くなる瞬間。毛先が首筋に触る。ザラついているかと思いきや、サラサラで気持ち良いくらいだった。 
そう感じた瞬間、ピタッと動きが停まった。



332 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2012/05/13(日) 14:47:36.64 ID:eJoW44y20 [5/5回(PC)]
気付かれた。小便がじわっと漏れるのを感じた。 
ドン 
テーブルの上に飛び移った。髪が下まで垂れ込んでくる。 
ドンドンドン 
テーブルを這い回っている。 
「あ゙ぁ゙……あ゙ぁあーー」 
苛立っているかのように耳障りな声を出している。 
「あ゙、あ、あぁ……あ゙っ、あ゙っ、あ゙っ」 
不意にトーンが変わった。まるで笑っているかのようだ。何があった。何が。 
「あ゙っ」 
振り返らなかった。振り返れなかった。恨めしいほど鮮やかにイメージできる。 
逆さまになった顔がテーブル下を覗いている。髪が畳を覆い尽くしている。俺のすぐ後ろ。つくぐらい後ろ。憑くくらい後ろ。 
小便が広がっていく。開いた口から涎がつーと垂れた。涙は出なかった。