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俺たちは視界の届く範囲を注意深く観察しながら進んだ 
林の中にもいろんなものが落ちてた。 
バッグが中身ごとおもむろにすててあったり、キャンプをはった後がそのまま残ってたりした。 
とにかく人工物が見える場所はくまなく探した。 
なかには空になった大量の飲み薬のゴミも落ちてた 
しかし死体は見つからない 
しばらくすると木の枝にくくりつけられたロープを見つけた 
しかし周りには何も見当たらない 
ここで自殺を思い立ったが結局踏ん切りがつかずにあきらめたのだろうか・・・ 

森をさまようこと2時間 
時刻は昼の12時 
依然死体はみつからない 
緊張感も緩んでなぜかホッとしてる俺達 
そんなに簡単に死体なんてあるわけないよな 

俺は棒を手に取り振り回しながら先頭を歩く 

そしてその時は訪れた 

俺は一生忘れない 

森の静寂を切り裂くあの光景を・・・ 

俺の後ろを歩く友達が茂みの向こうを指して言った 

「なんか赤いものがあるよ」 

わずか10m先に俺は見た・・・・・ 








赤いシャツを着た男性が首をつって死んでいた 

「ヤバイヤバイヤバイヤバイ」 
俺はとっさに友達二人を後ろへと追いやった。 
「なに?なに?なに?」 
びっくりした友達が俺に言う。 
「死んでるよ死んでる」 
まだ死体を見てない友達2人に状況を説明 

死体の下で夜寝れると言っていた友達がおそるおそる忍び足で見に行ってくる。 
「本当だ」 
とりあえず全員で死体を見に行く。 
死体がぶら下がっている。 
俺は頭が真っ白だった・・・ 
もう何も考えられない・・・

死体は首がありえない角度まで曲がっていた 
後頭部がこちらに向いていて顔は全く見えない 
そもそも死体に近づく勇気すらない 
全員が茫然としていた 
小鳥が一匹死体の肩に止まった 
鳥にとってはもはや「物」なのだ 
一体この人はいつからここにいたのだろうか

しばらくして落ち着きを取り戻した俺はビデオをとりだして撮影しようとした 
すると友達が「やめろよ」と言った。 
友達二人は俺よりも精神的ショックが大きいようだった。 
もはや死体の下で寝れるなんて言うまでもなく不可能な状態 
なにせ近づくことすらできないのだ 
結局警察に通報することもなく俺たちはその場を後にした

もう10年も前の話だからね 
あの後観光客のたくさんいる駐車場まできて売店の横のベンチでしばらく座って休んだよ 
頭の中はもう死体の場面が焼き付いていてほかのことは何も考えられなかった 
車を運転する友達がかわいそうだった 
興味本位で行った俺たちだから警察に通報とかも考えなかった 
帰ってきた後友達の家に集まってその日は電気をつけたまま寝たよ 
友達はその後もしばらく電気をつけたままじゃないと眠れなかったらしい 
今はもう結婚して子供もいるからさすがに大丈夫だろうけど・・・