Yamasha17511016_TP_V

家まで残り1時間くらいで着くというとき何かをタイヤで踏み、自転車は横転した。 
すぐ横はなだらかな崖のようになっているので反対側にこけなかったのが唯一の救いだった。 
カバンから手探りで懐中電灯を取り出すと、周りを照らす。 
すると、自転車のタイヤが木にぶつかりタイヤの空気は抜け、ホイールも曲がっていた。 
自転車はとりあえず押して帰ろうと立たせて歩き始めた。 
ホイールが曲がっているためガクンガクンなるが、きにせず歩く。 
腕時計を見ると21時を少し過ぎていた 

雨は依然降っているが、カッパを着ると歩きづらいので気にせずにあるく。 
MDは濡れるのを防ぐため、タオルでくるんでバッグに突っ込んだ。 
辺りは雨音がするのみで、崖下を流れる川の流れが若干聞こえてくる。 
腹は減るし、リハーサルでクタクタで、゛目をつぶったら部屋についてないかな゛ 
なんてくだらないことも考えながら歩いていた。 
正直、自転車はここにおいて明日の朝じいさんの軽トラで運んでもらおうかとも考えた。 
でも、ようやく買えたマウンテンバイクなのでそんなことできなかったんだ。 
と、崖下の方から声がした気がした。 
なんていってるかはわからないが 
「・・・・い」 
「ぉ・・い・・・ゅ」 
みたいなかすれた様な風の音なのかわからないような不思議な音。 
崖下は真っ暗だし、なにより高さは5mくらいはあるんで人などいようはずもない。 
そう考えてまた自転車を押して歩き始めた 

すると、また声なのか風の音なのか判別できないような音がした。 
今度は自転車を脇にころがして、崖下に懐中電灯の光を向けた。 
したは渓流なのだが、その真ん中でこっちに手を振ってる人型の何かがいるのが 
すぐにわかった。 
しかし、顔とかは全く見えない。 
黒い影のようなものがブンブンとこっちに手を振っている。 
しかし、その手が異様に長い。 
手だけで2mはありそうなくらいあった。 
怖いというよりも、゛なんだありゃ゛に近い呆然とする感じ。 
そいつはこっちに向かって何か言っているようだった。 
「・・・・ぃ」 

「・・ゃぃ・・・ぉ」 

「こ・・・・ゃ・・ぃ」 

一瞬寒気がして腕時計に懐中電灯の光を当てて確認すると22時近い。 
また崖下の光を向けると、何もいなかった