Yamasha17511016_TP_V

流石に怖くなってきた自分は自転車を立てる。 
と、何か自転車が重い。 
タイヤにぬかるんだ泥がついたのかと思い自転車を照らしていく。 
すぐに違和感に気づいた。 
スポークにねずみが刺さっている。 
しかし、おかしい。 
そのスポークは端が折れていないので、ささりようがないのだ。 
お札貫通マジックみたいな感じでスポークのど真ん中にねずみが刺さっている。 
そこまで考えた瞬間全身総毛立ち、飛び上がった。 
そして、自転車のカゴのバッグを引っつかむと走り出した。 
走ると手に持っている光は上を向くので先が全然見えない。 
しかし、走る。 
とにかく走る。 

腕時計は23時近くになっているが、もう残り5分もすれば林道を抜けるというとき、 
不意に耳元で「おい」とドスの効いた声が聞こえた。 
しかし、それは無視した。 
そしてなんとか林道を抜けた。 
林道を抜けると、すぐに民家が何軒かあるので若干明かりが見えたことで安心できた。 
そして、今来た道を振り返った瞬間、また総毛立った。 
自転車があるんだ。 
何キロか前に置いてきたはずの自転車が倒れている。 
しかも、タイヤもパンクしていないし、ホイールも曲がっていない。 
まして、ねずみなんかも刺さっていない。 
自転車にかけより立てるといつもの自転車で、フレームにも傷一つついていない。 
すぐにまたがると、家まで一気に立ちこぎで帰った

家の玄関を開けると、母親がキョトンとした顔をしている。 
そして、 
「あれ、お風呂はいったんじゃなかったっけ」 
と意味不明なことを言う。 
「いや、今帰ってきたのにそんなはず無いじゃん」 
と言うと、母親が 
「え?さっきご飯食べたじゃん」 
と真顔でいってくる。 
「いや、食べてないし。」 
「じゃあ、今誰がお風呂入ってるの」 
と母親が指差す先には、離れの風呂場のすりガラス越しに影が見えている。 
異常に手が長い影はさっきみたもののようにブンブンと手を振っているようにも見える。