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昔、ある村にピーカフという耳のとがった赤い眼をした少年がいた。 
少年はその耳と眼のせいでいつも村の子供達からいじめられていた。 
赤眼のピーカフ、とんがり耳のピーカフって。 
そんな彼に両親はとても優しかったけれど、ピーカフは思った。 

「ここは僕の家じゃない。この人達は僕の本当の親じゃない…」 

なぜならピーカフのお父さんも、お母さんも、いや、村の人間の中には誰一人として 
彼のように赤い眼やとんがり耳のものは居なかったのだから。 

そんなある夜、ピーカフは親に黙って家を抜け出した。 
自分の本当の両親を、自分の本当の住むべき世界を探しに。 
大人達が決して近づいてはいけないと言う妖精達が住む森へと一人入っていった。 

そしてピーカフは見つけた。 

彼らの赤い眼、とんがり耳、それはまさしくピーカフと同じものだった。 
でも、喜びいさむピーカフに彼らはこう言った。

「お前が私達の仲間だって?それは違う。だってお前には私達のように風に乗る羽がないじゃないか。」と… 

あわてるピーカフに彼らの一人がこう告げた。 
「昔、人間の男と女が病気で死にかけた赤ん坊を連れてここへやって来た事がある」 

「この子を救う為に、村の掟を破りこの森に入りました」 
「この子は私達の命です どうかお救い下さい」 
男と女は必死で願ったのだと。 

その願いを聞き入れて、彼らはその赤ん坊にある魔法をかけた。 
そのお陰で赤ん坊の命は救われたが、そのかわりその子の姿は半分彼らに似たものになってしまった。 
それでも男と女は涙を流して喜んだ。「この子が生きてさえいてくれれば…」と。 

それを聞いたピーカフは大慌てで駆け出した。もと来た道を泣きながらにひた走った。 
けれど、ピーカフが家に辿り着いた時にはもう何もかもが手遅れだった。 
不思議な事に、森ではほんの一瞬過ごしただけなのに、村では100年もの歳月が流れてしまっていた。 
誰一人知る者の居なくなってしまった村と、人間の住む事の許されない妖精の森との狭間の小さな丘の上で 
仲間外れのピーカフは泣き続けた。赤い眼をもっと赤く腫らして…