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その間、友人は友人なりに選んだ酒を飲んでいた。 
(彼女はめっちゃ酒に弱いので「大丈夫なん?」と訊いたら 
「除霊しているときは全く酔わないよ」と言っていた) 
そんなこんなしてたら奥さんが 
なんでこんなん持ってるのと思うくらいのデカイ水晶を持ってきてくれた。

お分かりかと思うが、この時点で、 
煙草を吸い酒をかっ込み水晶を片手に持っているという 
異様な二十代前半(当時)の女が出来上がった訳だ。 
(そんな異様な光景に周りの普通の霊がびびっていたらしい) 

まず家の中心に水晶を置く。 
友人はまだ相手の姿が解らないので 
ひたすら煙草をすうという持久戦になった。

友人がその家に訪れたのが十一時くらい。 
準備にさらに一時間半。 
そこからひたすら夜の一時半まで煙草と酒のターン。 

通常の霊ならこんなめんどくさいことはしなくても祓えるらしいが、 
「土地の神様だろうなー」と荒い手段には出なかったらしい。 

一時を過ぎた頃、急に煙草の煙が友人にかかるようになった。 

(あ、来た) 

やっぱり霊ではなかった。 
猿のような、白茶色のものが現れた。

普通だったら「悪霊退散!」とかかっこいいのを 
想像したいが、友人はお経も解らない。 
そして一時である。 
彼女は待ち疲れていた。 

友人の除霊スタイルは話し合いである。 
だから喋れない水子や外国人は大変らしい。 
今回は猿である。 
喋れなかった。

「お前なにしたかったの?」 
「イーッ!!イギーッ!!」 
「なるほど。わからん」 

そんな訳で多少困る友人。 
猿だとは思っていなかった。 
(几帳面に収納していたから人間だと思ったらしい) 

そうしていると昼間道案内をしていた 
巫女さんが集まって通訳をしてくれた。

この猿、友人に攻撃を仕掛けていたらしいが何故か効かなかった。 
代わりに家の中にいた息子さんが奇声をあげて跳び跳ねていたらしい。 
(後日聞いた話) 

この猿のよりしろを見つけないといけないのだが、 
話が出来ないのでわからない。 
その内に息子さんは家を飛び出していった。 

とりあえず猿捕まえないといけないので 
水晶に閉じ込めたらしい。

水晶の能力には時間制限があるらしく 
急いで息子さんを探すと庭で穴をひたすら掘っていた。 

巫女さんの話によると、この土地は元々地主が住んでいたらしい。 
その地主というのが女をとっかえひっかえ喰う奴だったのだが、 
死んでからも美人をみつけると祟り殺して食っていたようだ。 

そこで土地神の猿が、これはあかんと地主を食べたらしいが、 
逆に地主に乗っ取られたらしい。 
ので騒いでいた猿は地主。

体の一部を大切にしていたのは、生前からの行いらしい 
自分のものだという印 
息子さんが穴を掘っていたのは、その生きている時に集めた体の一部達の上に家を立ててしまったからだ。 

話を聞かせてくれた巫女姿の子達は猿が神様だったときにそれに仕えてたもの

本当は人格が代わる危険があるので普段はやらないが、 
憑いているものと猿を無理やりひっぺがして自分に取りつかせてお持ち帰りした。 
(「巫女さんがもう神様じゃない」と言っていたので大丈夫だろうと思った:友人談) 

女性では不利な類だと考えて 
その足で友人祖父の霊山に棄ててきたらしい。

「あと30年もすれば普通の霊になるんじゃないかな」 

自分に害がないうちで良かったとも言ってた。 

山神さまは女性なので男霊の猿は大人しくしているだろうと。 
後日また家を訪れると息子さんは元に戻っていたらしい。 
友人は巫女さんを供養をして家をあとにした。 
「お菓子まじうまかった」とは彼女の感想。