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今から二十数年前の話。
当時、家庭用のビデオデッキがかなり普及してきていて、レンタルビデオ店もだいぶ増えてきていた。
あるとき、何の映画か忘れたけど、借りてきた映画を家族みんなで見はじめた。
ところが、ホームビデオで撮影されているような映りの悪い映像が再生され始め、一人のさえないおっさんがなにやらぶつぶつ言ってるシーンが再生されだした。
どうやらビデオの入れ間違いがあったらしい。昔は管理もずさんで、ケースに別のビデオが入っていることはよくあった。

なんだこれと思いながら見ていると、そのおっさんは突然ベランダの方に歩き出し、そこに用意してあったロープに首をかけ首つり自殺してしまった。あわてて母親が再生を停止し、そのままビデオ店にクレームと返却に行った。
最近になってそのことを思い出し、母親に訪ねた所、
「誰かのいたずらでケースの中身をすり替えられた」と店側は釈明して、今後その話は誰にもしないで欲しいと数万円入った封筒を渡されたらしい。
しかし母は、
「よく見たらあのビデオテープのラベル、ちゃんとバーコードと【男性 自殺】って小さくラベルが入ってたのよねー。あれマニア向けのレンタルだったと思うの」と、怖いことをさらっと言っていた。
今もどこかのレンタルショップで、彼の自殺シーンはレンタルされ続けているのかもしれない。