007KZ17922photo_TP_V「お前誰だ?」 
「何言ってるの。真美子さんでしょ。彼女を忘れたら罰当たるわよ。倒れた事も伝えてくれたのも彼女なのよ」 
違う方向から聞こえてきた声に顔を向けると俺の母だった。どうやら倒れた事を心配して駆けつけてくれた 
らしいのだが。しかし正直母の言っている事は訳が分からない。 
「真美子って誰だ?」 
「貴方とお付き合いしている女の人じゃないの。真美子さんゴメンなさいね。この子どうも記憶が飛んじゃって 
いるのかな」 
「良いですよ。お母さん。覚悟はしてましたから」 
そういって真美子と呼ばれた女は屈託が無くそれでいて何処か寂しそうな表情を浮かべた。 
何だこれは。ますます訳が分からない。 
「ああそれからお父さんも仕事終わってから来るからね。千華(俺の姉)は売店で何か買ってくるみたい。 
もう戻ってくるでしょ」

俺は頭を整理する。俺が付き合っていたのは葵だった筈。この女は地下鉄であっただけの女だ。 
何故この女を母が知っているのだろう。 
「千華、戻ってきたみたいね」 
廊下から戻ってきた母がそう言うと真美子と呼ばれた女は立ち上がって姉に挨拶を交わした。 
「あら真美子さん来てたの。ありがとうね。いつも弟の面倒を見て頂いて、ほらこいつどうしようも無い男だから。 
貴女みたいなしっかりした彼女が出来て安心だわ」 
もう俺は放心状態でその会話を見つめていた。人間は一瞬で胃潰瘍になる事があるらしい。肉体が極限状態 
に追い詰められると内臓は直ぐに壊れてしまうものなのだそうだ。それは肉体だけに当てはまらず 
精神的にも当てはまるものなのだろう。いや肉体よりももっと壊れやすいモノなのかも知れない。 
今の俺が正にそれだった。 
極限状態を通り越した俺はベッドの上で暴れ回ったと後に母から聞いている。 
直ぐにナースコールが掛かり担当の医者が来て何やら数人の先生と相談した挙句注射を打たれた。 
今から考えれば鎮静剤だったのだろう。 
そういった状況が数回続き、この病院で精密検査を受け異常無し(一時的な記憶喪失と言う診断はあった) 
と認められた俺は違う病院に移された。 
主に精神を患った人のための病院である。 
俺は大学を辞めざるをえなくなりこの病院に半年間お世話になり、退院後自宅療養という形をとられた。

俺は頭を整理する。俺が付き合っていたのは葵だった筈。この女は地下鉄であっただけの女だ。 
何故この女を母が知っているのだろう。 
「千華、戻ってきたみたいね」 
廊下から戻ってきた母がそう言うと真美子と呼ばれた女は立ち上がって姉に挨拶を交わした。 
「あら真美子さん来てたの。ありがとうね。いつも弟の面倒を見て頂いて、ほらこいつどうしようも無い男だから。 
貴女みたいなしっかりした彼女が出来て安心だわ」 
もう俺は放心状態でその会話を見つめていた。人間は一瞬で胃潰瘍になる事があるらしい。肉体が極限状態 
に追い詰められると内臓は直ぐに壊れてしまうものなのだそうだ。それは肉体だけに当てはまらず 
精神的にも当てはまるものなのだろう。いや肉体よりももっと壊れやすいモノなのかも知れない。 
今の俺が正にそれだった。 
極限状態を通り越した俺はベッドの上で暴れ回ったと後に母から聞いている。 
直ぐにナースコールが掛かり担当の医者が来て何やら数人の先生と相談した挙句注射を打たれた。 
今から考えれば鎮静剤だったのだろう。 
そういった状況が数回続き、この病院で精密検査を受け異常無し(一時的な記憶喪失と言う診断はあった) 
と認められた俺は違う病院に移された。 
主に精神を患った人のための病院である。 
俺は大学を辞めざるをえなくなりこの病院に半年間お世話になり、退院後自宅療養という形をとられた。

そして数ヶ月経つが未だに全ての事が分からない。 
元の生活が薄れていく今記憶を頼りに思い出そうとするのだが全てが妄想に思えてしまう。 
見舞いに来た幾人かの大学時代の友人にもこの女の話を振ってみたのだがずっと付き合ってる彼女で間違いないと 
言う。逆に葵の事を尋ねると誰だか分からないと。話を聞いてみるとどうやら葵の存在そのものが皆無らしいと 
いう事が分かった。 
その代わりにいつも傍に居るのが自宅療養で家にいる俺に親公認で付きっきりな真美子と言う女だ。 
この女との馴れ初めが絶対有るはずなのだが俺は聞きたくも無いし知りたいとも思わない。 
ただこの女。これからずっと俺と一緒にいるつもりなのだろうか。 
何の為に?