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私がまだ6歳ぐらいのとき、母方の祖父が脳をやられて入院してたんだ。
もう結構な年だし、治る見込みはないってんで、みんな覚悟はしてたようだ。

たまの休みには、普段バリバリ働いていた両親とも、
祖父の入院してる田舎に行ってたんだろうな…ほとんど家にいなかった。 
この頃の母が夜中ずっと泣いていたのを、幼かった私もはっきり覚えてる。 

私には2つ下の弟がいるんだが、ある時、この弟が家の電気の真下に突っ立って一人で何やら喋ってるんだ。
そのときは忙しかった両親ともいて、不思議と家族全員が揃ってた。何してんだ、と思って聞くと、 

「おじいちゃんが空飛んでる!」 

電気を指差してこういうんだ。私もそのときのことはよく覚えてて、
目を凝らしたがどこにも見えない。そのうち弟の言うことが変わってきた。

「おじいちゃんが燃えてる!」 

意味がわからない。なんだかそんなことを言う弟が怖く思えて、
私はただぼんやりと弟の言うことを聞いていた気がする。

そして最後に、弟はこう言った。 

「おじいちゃん、ばいばーい!」 

それから間も無く、田舎で入院してた祖父が亡くなったのだと知った。 

たまたま家族全員いるときに、祖父が弟の前に姿を現したのは、何か伝えたかったからなのだろうか。
弟はこのことを一切覚えていないらしい。