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とにかく俺は、本気でおびえる自称霊感女と、心配そうに見守るフリをする 
仲間の前で、偽物を開けようとしたわけだ。

見守る皆が「やめなよ!」とか「やれやれwww」とか煽るなか、俺は 
偽物の蓋に手をかけた。 
けどこれがあかないんだ。すっげー硬いの。 
思わず製作者のほうを見ると、製作者も「???」な顔をしていた。 
それでもムキになって開けようとしていると、不意に誰かが俺達の席に 
近づいてきた。 

「あんたそれ絶対開けるなよ」 

って突然声をかけられて、思わず振り返ると、ハーフっぽい顔の男が立っていた。

ハーフっぽい男は俺の手から偽物を取り上げると、俺達をじろっと睨んで 
「どうせ要らないだろ?これ。貰ってくわ」 
と言い捨て、さっさと店を出ていった。 
残された俺達はポカン状態。 
いったい何だアレ?もしかして誰か仕込んだ?とか思ってると、 
さっきの男の連れらしいのが(なんで連れって判ったかというと、店を出て行く 
男に向かって「おいちょっと待てって!」と声をかけていたから)話しかけてきた。 

「あー…なんかごめんね?あいつ変わってるでしょ。でもまあ許してやって」 
とか適当なことをいいつつ、支払済ませて出ていった。

ちなみに自称霊感女は、男が偽物を持って出ていった後、安堵のあまり 
ガチ泣きしてた。 
俺達は肩透かしをくった気分だったけど、当初の目的だった 
「自称霊感女を本気で怖がらせる」ことができたので、モヤモヤしつつも 
まあいいか……となり、その日は解散した。 

びっくりしたのは数日後。 
怪しいハーフ男は、当時大学生だった弟の同級生だった。 
仕事終って会社を出たら、弟とそいつが待ち伏せしてた。

弟には自称霊感女が起こしたトラブルや、今回の偽コトリバコのことを 
話していた。 
それがどこでどう繋がったのか、正直気持ち悪かった。 
知り合いだと紹介されて、最初は俺らの計画を止めるために 
わざわざやってきたのか??とか思ったんだけど、俺らが集まったファミレスに 
ハーフ男がいたのは、本当に偶然だったらしい。 
まあ弟とは生活圏被ってたから、奇跡的な偶然てわけじゃないかもだけどな。 
俺の顔を見て開口一番、ハーフ男は 
「ああいうの、もう作らせない方がいいっすよ」 
と言ってきた。

最初は悪戯のことを言われてるんだろうなと思って、 
俺らもハーフ男の介入があったおかげで、かなり悪趣味なことしたよなー… 
という自覚があったので、年下に説教される我が身を恥じつつ 
「うん、まあ、もうしないわ」 
とか言ったのね。 

そしたらハーフ男はため息ついて 
「オカルトとか好きなんですよね?だったら本当にヤバいものがあるってこと、 
なんとなくわかりません?」 
と言った。 
背筋がぞわっとした。

「あれを作った人は、その気がなくてもそういうもんを作っちゃう人です。 
たとえ中身が本物じゃなくても、相手に対してなんらかの悪意があれば、 
本物に近いモノになりますよ」 

ハーフ男はそれ以上詳しい説明はしなかったけど、なんか腑に落ちた。 
製作者は学生時代、自称霊感女に振られたとか、霊感女のせいで当時の彼女と 
別れたとか、そんな話を聞いたことがある。 
どっちも俺にとっては後輩で、詳しい話を聞いたわけじゃなかったけど、 
偽物作って騙そうぜwwwとなった時、製作者がやたらと張り切ってたのを思いだした。

弟はもうちょっと、ハーフ男から色々聞かされてるらしかった。 
なのでしばらく経ってから、酒飲ませて色々聞きだした。 
ハーフ男に対する興味もあったしな。 
弟から聞き出せたのはこんなかんじ。 

・ハーフ男は本当にハーフ。母親がロシアだかあのあたりの出身。 
・霊感相当強いらしいけど、滅多なことではそれに触れない。 
・本当にヤバそうな時だけ、的確に動く。 
・偽物製作者は言ってみれば、祟られ屋の呪詛専門バージョンみたいな血筋の生まれ。