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今はもう取り壊されたが、昔一軒家で家族と住んでいたときのこと 

俺はもともと霊感の類いはないのだが、どうもガキの頃から風邪を引いて熱が出ると霊的な何者かに操られて、自分の部屋から廊下を歩いて真っ暗な居間を徘徊するということが度々起こった 

そんなときは決まって不審な足音を聞いて起きてくる親に徘徊を止められて親の寝室で寝かしてもらっていた 

ある時その時も風邪で寝込んで熱を出した 
皆が寝静まってる深夜に、何者かに呼ばれてるのが分かり、俺は目覚めて身体がひとりでに動き出す 

直感的に居間に行くと帰ってこれなくなると思い、自由の効かない身体ながらも左手だけは何とか動くのがわかり、自分の部屋にあるテレビにしがみついて何とか部屋に留まろうとしていた 

テレビのかどを力一杯掴んでいたのだが、左手以外の身体の機能はすべて居間へ向かうべく動き出している 
結果、テレビは斜めに傾いて左手が外れてしまった 

心臓はバクバクしてるし、身体は勝手に部屋のドアを開けて廊下へと歩きだすし、このまま居間に行ってしまうと死ぬんだと直感的に思ってた 
そこから記憶がなくなり、気づいた時には両親がびっくりしたような顔をしながら真っ暗な居間で立ち尽くしてた俺を見ていた 

こんな感覚的な話を親に伝えることもできず、熱があるから寝ぼけてたんだねとやり過ごされて両親の寝室でその日も寝た 

しかし俺は見てしまっていたんだよ 

廊下で記憶がなくなる直前に、居間のほうから手招きしているスクリームみたいな黒いユラユラしてる格好をした死神みたいな奴を 
悪意ある笑顔を浮かべてその死神は言った 

「この日を待ってた、今回は連れていくよ」