RD2020322H032_TP_V

10年ちょっと前の5月の連休にひとりで大峰山系を歩いた。洞川から入って、山上ヶ岳、
大普賢岳、弥山、釈迦ヶ岳と歩いて前鬼口に降りる3泊4日の一般的な工程だ。

その3日目。釈迦ヶ岳を越えて夕方にテント場の深仙の宿についた。
ここは名前と違って山小屋はなく、単なるテント場だ。すでに10張り程のテントがあった。
天気は良かったがかなり風が強かった。テントの設営後、夕飯を食べてさっさと寝た。

深夜に風の音で目が覚めた。相変わらずかなり強く吹いている。ふと人の声が
聞こえることに気付いた。話し声ではなく、読経のような、祝詞のようなそんな声。
どうも男性のようだ。どこから聞こえてくるのかは分からない。地面に耳を付けると
よりはっきり聞こえたから、地面の下から響いていたような気がする。
時計を見るとちょうど午前2時。不思議な体験だったけど、べつに怖くはなかった。
何となく聞いていると声は突然途絶えた。そのとき時計を見ると2時15分だった。
その後眠って、翌日は予定通り下山した。

帰ってから、あの15分間の声が何だったのかをその後考えてみた。結論は以下の通りだ。
残念だけど、超常現象を持ち出さなくとも説明できそうなんだな。

大峰山系は修験場として有名だ。山中には修験者の祈りのポイントが幾つもあり、
そこには御幣やおふだが供えてある。深仙の宿の近くでも一カ所見かけた。
修行の奥駆けは昼夜を問わず行われるらしいから、そういう修験者の一人が深仙の宿の近くで
その時間に祈りを捧げていたんじゃないかと思う。その声が大気の状態のせいで地中に響き、
聞こえたのではないかと。つまり狸囃子現象だな。そう考えている。
まあ珍しい体験には違いないけど。

ちなみに翌日は抜けるような青空とひどい暑さ。
2日前には弥山の頂上では雪が降っていたことが信じられないほどでした。