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タラの芽を採りに、街から離れた山中へ入っていた時のこと。
そこは交通の便が悪いせいか登山者も少なく、山菜の穴場なのだそうだ。

その日も結構な収穫を得た彼は、最後にしようと目前の芽に手を伸ばした。

彼の指がプリッとした芽に触る直前。
ガサッと繁みを分けて緑色の何かが横から突き出される。
素早く芽を引っつかむと、彼が何ら反応する間もなく繁みの中に消えていく。

あっという間のことで詳しく見えなかったが、形は人の手に似ていたという。
ただ、手首より先の部分に、小さな指のような物がびっしりと生えていた。

彼は今でも一人で、その山に山菜狩りに出かけている。
しかし、絶対に必要以上の量は採らないのだという。