togitsu76_TP_V

ある夏の日、スイミングスクールの行事か何かで、キャンプへ行った。
夜は、テントではなくバンガローに布団を敷いて寝た。

私は怖がりなので、真ん中に寝たかったのだが、
内向的な性格が災いして、結局ドア前の場所になってしまい、憂鬱だった。

夜も更けてどのくらい時間がたったか、いつの間にか寝いっていたようだ。
ふと、後ろで誰か喋っているのに気が付いた。
女の人の声だ。

「寒い」

自分が端っこに寝てたっけ。と気づいた瞬間、私は恐怖で飛び起きて、
隣に寝ていた友人に助けをもとめようとした。
腰が立たず、ただ四つんばいになってアワアワしていた。
「寒い…寒い…寒い!」
エコーのかかったような大きな声が、部屋中に響いた。

友人はぐっすり寝ていて、そんな声は聞こえなかったという。
恐怖で錯乱ぎみだった私は、懇願して彼女の布団に入れてもらって
震えていた。

二十年たった今でも、本当にはっきりと声が聞こえたのを思い出します。
ただの幻聴か、それとも何かと波長が合ってしまったのか…。