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妻の元カレにAという奴がいた。Aは妻にかなり惚れてて、束縛もひどかった。
妻が友達と飲みに行くと言うと、こっそり自分も同じ店に行き、
少し離れた席から監視するような奴だった。

そんな異常な束縛に嫌気がさした妻は、相手の返事を待たずに一方的に別れを告げ、
それ以降連絡も取れない様に、メールアドレスも変え、携帯の番号も変えた。

だが、Aは妻の職場に現れるようになった。
妻はAにやめてほしいと伝えるが、Aはやめず、
職場に居づらい雰囲気になり、退職せざるを得なくなった。

そして、Aから逃げる為に他県へ引っ越し、就職。そこで俺と出会った。
俺と妻は本当に気があって、何度か話すうちに好きになり、
しばらくして付き合いが始まった。

そして、ちょうど婚約をした頃に奴が現れた。

ある日、俺が妻のマンションに行くと、妻の部屋の前に男がいた。
男は、玄関に向かって必死に何か叫んでいる。

俺はその男に近づき、「何か用か?」と尋ねた。
すると男は「お前は誰だ!お前こそ何の用だ!」と言ってきたので、
「俺はこの部屋の住人の婚約者だ」と返すと、男は驚いた顔をしていた。

俺達の会話が聞こえたのか、妻が玄関を開け、恐る恐る出てきた。
そして、その男に近々結婚すると告げると、男はひどく絶望した顔になり、
その場を立ち去っていった。立ち去る瞬間、俺の方を恨めしそうに睨んでいた。

妻と部屋に入り、落ち着かせてから事情を聞くと、
あの男は元カレのAだとわかった。そして、Aのこれまでの異常な行動の数々を聞かされ、
「俺がこいつを守ってやらないと」と考えていると、マンションの外が騒がしい事に気づいた。
窓から外を見てみると、救急車やパトカーが何台か停まっている。

後日、Aがあの日妻のマンションの屋上から飛び降り、自殺したことがわかった。

その後、俺と妻はこの出来事のショックはあったものの、お互いを支え合い、なんとか乗り換え、無事結婚できた。
今では息子と三人の生活を送っている。

ところで、その息子なんだが、妻によく懐いていていわゆるママっ子というやつだ。
この間なんて、俺と妻がソファに座っていると、
無理矢理その間に入り込んで妻に膝枕してもらっていた。

俺が呆れて笑いながら「本当にお前はママが好きだな」と言うと、
「うん!一生ママと一緒にいる!」と言うので
妻と顔を見合わせて笑ってしまった。

妻に頭を撫でられてる息子を見ると、なんとも言えない顔で俺を睨んでいた。
その目が、あの日のAに似ている様な気がした。